札幌市交通局10形電車

札幌市交通局10形電車の歴史と概要

札幌市交通局10形電車は、1918年に導入された札幌市電の路面電車です。この電車は名古屋電気鉄道から譲り受けたもので、同社で製造された名電1号形電車などのモデルを基にしています。札幌市電の開業に先立って、名古屋で使用されていた車両が改造され、札幌の街を走ることになりました。

沿革

1918年、札幌電気軌道株式会社が創業し、これに伴い名古屋電気鉄道からの車両が合計24両譲渡されました。当時、札幌では1372mm軌間の車輌の購入を計画していましたが、第一次世界大戦の影響でこれが難しくなり、代わりに1067mm軌間の中古車両を購入することになりました。名古屋で改造されたこれらの車両は、1930年代には全てが廃車となりましたが、69号車だけが保存され、現在も見ることができます。

古い車両の一部は除雪車や散水車に改造され、またコントローラーや電装品は他の車両に流用されるなど、様々な形で利用されていました。札幌市交通局としては、市営化の際に3両が改造され、雪を除けるための車両へと転用されました。

保存車

特に29号車は重要な存在であり、1951年に円山動物園で展示物として使用されました。1960年には元の部品を使用して運転可能な状態に復元され、後に「22号」と改番されました。この車両はイベントで何度か運転されましたが、やがて静態保存され、現在は札幌市交通資料館で観覧可能です。

最後の展示と今後

2023年には、博物館明治村で特別展示が行われることになり、展示期間は何度も延長されました。最終的には札幌市交通資料館に戻ってきたこの電車は、2024年のリニューアルオープンを経て、ヒストリーコーナーにて展示されることが決まっています。

主要諸元

• - 全長: 7,387 mm
• - 全幅: 1,828 mm
• - 全高: 3,500 mm
• - 自重: 5.5 t
• - 定員: 26名
• - 主電動機出力・駆動方式: 17.25 kW×2・吊り掛け式
• - 制動装置: 手ブレーキ
• - 台車: ペックハム7B形
• - 集電装置: トロリーポール

このように、札幌市交通局10形電車は長い歴史を持ち、現代においてもその名を伝える重要な文化資産となっています。

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