朱国禎

朱国禎（しゅ こくてい）

朱国禎（1557年 - 1632年）は、明代末期の官僚であり、字は文寧、号は平涵と称しました。湖州府烏程県（現在の浙江省湖州市）の出身です。

生涯

1589年（万暦17年）に科挙に合格し、進士となりました。その後、翰林院編修、翰林院侍読、右諭徳といった役職を歴任し、学問の府である国子監の祭酒（長官）にまで昇進しましたが、病を理由に官職を辞して故郷に帰りました。

1621年（天啓元年）には、礼部右侍郎として再び朝廷に召されましたが、上京を拒否しました。しかし、1623年（天啓3年）1月には、礼部尚書兼東閣大学士に任じられ、内閣の一員として政治の中枢に加わることになりました。この時、顧秉謙、朱延禧、魏広微と共に内閣入りを命じられましたが、既に葉向高、韓爌、何宗彦、朱国祚、史継偕といった重臣たちが在籍しており、新たな4人の加わったことで、執務室は著しく手狭な状況だったと言われています。

同年6月に朱国禎は北京に到着し、正式に朝廷に出仕しました。内閣での序列は、顧秉謙と朱延禧の後とされました。7月には、文淵閣大学士に転じ、10月には少保・兼太子太保の位を加えられました。

当時の朝廷では、宦官の魏忠賢が権勢を強めており、政治を壟断しようとしていました。朱国禎は、首輔（内閣の長）であった葉向高を補佐し、魏忠賢の専横に抵抗しました。1624年（天啓4年）夏、楊漣が魏忠賢の二十四大罪を弾劾する上奏を行うと、多くの廷臣がこれに同調するように葉向高に勧めた。中には葉向高を非難する者もおり、葉向高は激怒したが、朱国禎はこれを穏便に済ませるように進言しました。葉向高は密かに魏忠賢を批判する上奏を行いましたが、魏忠賢の手下たちが葉向高の屋敷を包囲する事態となり、葉向高は辞任を決意しました。葉向高は辞任に際し、朱国禎に「私が去った後、蒲州（韓爌）では魏忠賢らの敵にならないだろう。公も早く退任して帰った方が良い」と忠告しました。

7月に葉向高が辞任すると、韓爌が首輔となりましたが、11月に韓爌も辞任したため、朱国禎が首輔に就任しました。しかし、魏広微は魏忠賢と結託し、朱国禎を軽んじていました。12月、朱国禎は魏忠賢の仲間の李蕃に弾劾され、三度にわたる辞任を願い出ました。最終的に少傅の位を加えられた上で辞任が認められ、銀幣を賜り、故郷に送られました。

1632年（崇禎5年）に76歳で亡くなり、太傅の位が追贈され、文粛という諡号が贈られました。朱国禎は、官僚としての職務を全うするだけでなく、文学や歴史の研究にも熱心で、数々の著作を残しました。著書には、『史概』120巻、『輯皇明紀伝』30巻、『湧幢小品』24巻などがあります。

脚注

参考文献：『明史』巻240 列伝第128

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