杉亨二

杉 亨二について

日本近代統計の祖として名高い杉亨二（すぎこうじ）。文政11年8月2日（1828年9月10日）に肥前国長崎市で誕生し、1917年12月4日に亡くなります。本名を杉純道（じゅんどう）といい、長い人生を通じて官僚や学者として多くの功績を残しました。彼は自身の著書や調査を通じて、日本における統計の基礎を築き、多くの人々に統計の重要性を広めました。

生い立ちと若き日

杉亨二は、若くして両親を失い、祖父の友人が経営する上野舶来本店で丁稚奉公を始めました。この店では、高品質の精密機械や多様な舶来品が取り扱われており、多くの蘭学者たちが集まっていました。そこで彼は、緒方摂蔵からの刺激を受けて医学の道を志します。その後、著名な蘭学者村田徹斎に師事し、大村藩にて書生として学びました。

さらなる学びと官僚生活

彼は1848年に大坂の適塾に入学し、そこで蘭学を学びましたが、脚気を患い、すぐに帰郷。その後、江戸でオランダ語を教える傍ら、勝海舟とも出会い、彼の私塾で教壇に立ちます。1856年には、勝に引き付けられ、阿部正弘の下で教鞭を取ることになります。この頃に、統計に初めて関心を持つようになりました。

1860年からは蕃書調所の教授手伝となり、その後、開成所で翻訳や教育に従事します。特にオランダ語留学から帰国した西周や津田真道からも多大な影響を受け、統計学の重要性を説くようになりました。1869年には静岡藩で人口センサスを実施しましたが、反対論により途中で中断してしまいます。

統計の先駆者としての活動

明治維新後には、静岡藩に仕官し、さらに民部省に出仕。その後、太政官の正院政表課に勤務し、統計に関する書類作成に従事するようになります。1872年には、政府文書の整理に取り組み、『辛未政表』などの作品を刊行し、日本の統計資料の基礎を築きました。1879年には、「甲斐国現在人別調」という日本初の人口静態統計調査を実施し、これが後の国勢調査の先駆けとなりました。

晩年と遺産

しかし、杉のキャリアの後半には公職から退き、民間において統計の普及に努めました。多くの後進を育てるため、共立統計学校を設立しましたが、数年で閉校となりました。それでも、初期の统计学者たちはこの学校から輩出され、多くの業績を残しています。彼は1903年には法学博士となり、1909年には妻を失った後も国勢調査の実現に尽力しました。残念ながら、彼の死去前にはその成果を見届けることができないままでした。

杉亨二は、総務省の前身である官庁において統計をまとめ、金銭的、精神的に日本の統計学の基盤を築いた重要な人物として認識されています。彼の業績は、後の国勢調査や統計研究の土台となり、今もなおその影響が存続しています。現在では、彼の功績を称える胸像が長崎市に建てられており、彼の業績を顕彰するイベントも行われています。亡くなるまでの彼の努力と情熱は、今でも多くの人々に感謝され続けています。

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