杉原四郎

杉原四郎：経済学史・思想史研究の先駆者

杉原四郎（すぎはら しろう、1920年3月30日 - 2009年7月24日）は、日本の経済学者・思想史家であり、経済学史、社会思想史、経済思想史を専門としていました。甲南大学と関西大学の名誉教授を務め、日本の経済思想史研究において重要な足跡を残しました。

生涯

1920年、杉原四郎は京都市に生まれました。京都帝国大学経済学部に進学し、柴田敬のゼミナールで学びました。1943年に同大学を卒業後、研究者の道を歩み始めます。

研究者としての道

1943年、京都帝国大学経済学部の助手に採用され、研究生活をスタートさせました。1950年に同大学を退官し、関西大学経済学部の教授に転任。関西大学では経済学部長も務めました。1956年には、学位論文『ミルとマルクス：現代経済思想の二大源流に関する比較研究』を関西大学に提出し、経済学博士号を取得しました。1970年に関西大学を退職し、名誉教授となりました。その後、甲南大学経済学部の教授として教鞭を執り、1981年には甲南大学の学長に就任し、1984年まで3年間学長を務めました。

学界での活動

杉原は学界でも活発に活動し、1976年から1978年まで経済学史学会の代表幹事を務めました。2009年、呼吸不全のため西宮市の病院で死去。享年89歳でした。

研究内容と業績

杉原の研究は、当初J・S・ミルなどのイギリス古典派政治経済学やマルクスの学史的・思想史的研究から始まりました。その後、河上肇など日本の経済学史・経済思想史の研究を開拓し、「日本経済思想史研究会」の発足にも関与しました。杉原の恩師である柴田敬は河上の弟子であり、杉原は河上の孫弟子にあたります。

杉原は、経済学史・経済思想史の研究において、従来の著作を中心とする手法に加え、著作が掲載された経済（学）雑誌などメディア研究の手法を新たに切り開いたことで知られています。また、趣味の切手蒐集に関する著作もあります。

藤原書店からは『杉原四郎著作集』（全4巻）が2003年以降刊行されています。

家族・親族

杉原の息子である杉原薫は経済史（アジア域内貿易史）を、杉原達は歴史研究（ドイツ経済史・日本アジア関係史）を専門としています。

著作

単著

著作集
『杉原四郎著作集』(全4巻) 藤原書店 2003-

参考文献

後藤嘉宏1998「社会科学における書誌作成の意義と根拠：杉原四郎における経済思想史の方法論と図書館学的関心の関わり」『図書館学会年報』44巻2号, 49-64頁
「小特集 追悼 杉原四郎」『環』39号, 藤原書店 2009

外部リンク

コトバンク - 杉原四郎とは
みすず書房 - 杉原四郎
* 47ニュース「杉原四郎氏死去 関西大名誉教授」 - ウェイバックマシン

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