杉原正顯

杉原正顯

杉原正顯（すぎはら まさあき、1954年12月22日 - 2019年1月5日）は、日本の著名な数値解析学者であり、数値積分や数値線形代数といった分野で顕著な業績を残しました。名古屋大学と東京大学の名誉教授を歴任し、日本の数値解析研究の発展に大きく貢献しました。

略歴

杉原正顯は1954年12月22日に生まれました。1973年3月に岐阜県立岐阜高等学校を卒業後、東京大学に進学し、工学部計数工学科で学びました。1979年3月には東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程を修了。その後、博士課程に進み、1982年3月に同博士課程を修了しました。

職歴

1982年4月、東京大学工学部助手（計数工学科）として研究者のキャリアをスタートさせました。同年7月には筑波大学助手（電子・情報工学系）に転任。1987年1月には筑波大学講師（電子・情報工学系）に昇任しました。同年4月には一橋大学経済学部講師に、1988年4月には同助教授に就任し、経済学分野における数理的な側面からの研究・教育に携わりました。

1991年4月、東京大学工学部助教授（物理工学科）として再び東京大学に戻り、1997年2月には名古屋大学工学部教授（応用物理学科）に就任。2005年2月からは東京大学大学院情報理工学系研究科教授（数理情報学専攻）として、後進の指導にあたりました。2013年4月には青山学院大学理工学部物理・数理学科教授に転じ、幅広い分野で教鞭をとりました。

2014年12月には名古屋大学名誉教授、2015年6月には東京大学名誉教授の称号を授与され、長年の教育・研究活動が称えられました。2019年1月5日に逝去されました。

研究内容

杉原正顯の研究は、数値解析の中でも特に数値積分法に重点が置かれていました。博士課程では多次元積分に対する数値積分法に取り組み、優良格子点法へと発展させました。この研究は「準モンテカルロ法に関する研究」として博士論文にまとめられています。学位取得後は、高橋秀俊と森正武が開発した二重指数関数型数値積分公式（DE公式）の研究に注力し、DE変換とSinc近似を組み合わせたDE-Sinc法を提案しました。また、連立1次方程式の高速解法であるGBi-CGSTAB法（共役勾配法の進化形）の開発にも貢献しました。

著書

杉原正顯は、数多くの著書を通じて、数値解析の知識普及に貢献しました。

線形方程式の反復解法 (一般社団法人 日本計算工学会 編、藤野清次 著、阿部邦美 著、杉原正顯 著、丸善出版、2013年)
線形計算の数理 (岩波書店, 2009年)
数値計算法の数理 (岩波書店, 1994年)　(精度保証付き数値計算、ニュートン＝カントロビッチの定理、数値積分などについて解説)
複素関数論 (森正武と共著、岩波書店)

受賞

2014年には、日本応用数理学会業績賞を受賞しました。これは、二重指数関数型数値積分公式の創始と実用化に至る発展を先導した功績によるもので、森正武と共同での受賞となりました。

杉原正顯は、その生涯を通じて数値解析の発展に尽力し、多くの研究者や学生に影響を与えました。彼の業績は、今後の数値解析研究においても重要な礎となるでしょう。

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