杉田英明

杉田英明：中東文化研究のパイオニア

杉田英明氏(1956年生まれ)は、日本を代表する中東地域文化研究者、比較文化学者です。東京大学名誉教授の肩書きを持つ彼は、長年に渡り、アラブ世界やペルシア文化圏の奥深い魅力を研究し、その知見を世に発信し続けてきました。

学究の道：カイロから東大へ

東京都新宿区出身の杉田氏は、東京教育大学附属高等学校を経て、1979年に東京大学教養学部を卒業。その後、東京大学大学院比較文学比較文化専攻に進学し、1981年から1984年にかけては、カイロ大学に留学しました。このエジプトでの経験が、彼の中東研究の礎を築いたことは想像に難くありません。帰国後は、東京大学教養学部助手、専任講師、助教授を経て、2001年には東京大学総合文化研究科教授に就任。2021年に定年退職後も、名誉教授として活躍を続けています。1991年には東京大学より学術博士号を取得しています。

研究と受賞：多岐にわたる業績

杉田氏の研究は、アラブ・ペルシア文学、イスラム美術、比較文化史など多岐に渡ります。彼は単なる学術研究にとどまらず、その成果を分かりやすく一般にも伝えることに熱心に取り組んできました。その功績は数々の受賞に裏付けられています。1993年には『事物の声 絵画の詩―アラブ・ペルシア文学とイスラム美術』でサントリー学芸賞を受賞。1996年には『日本人の中東発見』で地中海学会ヘレンド賞、1997年には日本比較文学会賞を受賞しました。さらに、2003年には『葡萄樹の見える回廊』で島田謹二学芸賞、そして2015年には『アラビアン・ナイトと日本人』でアラブ首長国連邦のシェイク・ザーイド・ブック・アワードの他言語によるアラブ文化賞を受賞するなど、その業績は高く評価されています。これらの受賞は、彼の研究の質の高さと、その影響力の大きさを示すものです。

研究テーマ：東西文化交流

杉田氏の研究テーマの中心には、常に東西文化の交流があります。アラブ・ペルシア文化を深く理解する一方で、それを日本文化と比較することで、新たな視点や洞察を生み出しています。彼の著作は、専門的な知識に裏打ちされながらも、一般読者にも理解しやすい明快な文章で書かれており、幅広い層に読まれています。単なる学問の世界にとどまらず、文化交流、異文化理解、そして国際的な視野を広げる上でも、彼の貢献は計り知れません。

芳賀徹氏との師弟関係

杉田氏は、著名な比較文学者である芳賀徹氏の薫陶を受けました。芳賀氏の指導の下、杉田氏は独自の研究スタイルを確立し、現在の中東研究における第一人者としての地位を築き上げました。師事した芳賀氏からの影響は、杉田氏の研究姿勢や著作にも色濃く反映されていると言えるでしょう。

出版物：多様な著作活動

杉田氏は、数多くの著作を発表しています。単著としては『事物の声 絵画の詩』『日本人の中東発見』『浴場から見たイスラーム文化』『葡萄樹の見える回廊』『アラビアン・ナイトと日本人』などがあり、これらの著作は、中東文化研究における重要な参考文献となっています。また、編纂や翻訳にも携わっており、その活動は多岐に渡ります。これらを通して、杉田氏は中東文化を広く一般に紹介することに貢献し、日本の文化交流にも大きく貢献しています。 彼の著作は、専門家だけでなく、中東文化に関心を持つすべての人々にとって、貴重な知の宝と言えるでしょう。

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