李嘉誠

李嘉誠（リ・カセイ）とは

李嘉誠（レイ・カーセン、英語名：Li Ka-shing）は、1928年7月29日に中国広東省潮州市に生まれ、香港を拠点に活躍する実業家です。彼は、長江実業グループの創設者兼会長であり、その生涯は波乱に満ちています。幼少期に日中戦争の戦火を逃れて香港に移住し、一家を支えるために15歳で学業を断念しました。その後、プラスチック貿易会社での勤務を経て、自ら工場を設立、造花ビジネスで成功を収めました。1958年以降は不動産業に転身し、香港最大の不動産ディベロッパーとしての地位を確立、アジアを代表する大富豪となりました。

波乱の人生と事業展開

李嘉誠は、第二次世界大戦中に香港が日本軍に占領されるという困難な状況を経験しました。栄養失調や病気に苦しむ中、父親を結核で亡くし、一家の経済的な支柱として働くことになります。学業を断念せざるを得なかったものの、その後の成功は、彼の卓越したビジネスセンスと不屈の精神を証明しています。

1949年、香港でプラスチック工場を設立し、造花を売り出したところ、「ホンコンフラワー」として爆発的な人気を博しました。この成功を足がかりに、1958年に不動産業界に参入し、1967年の香港暴動で土地価格が暴落した際に積極的に買い進め、長江実業有限公司を設立しました。その後、和記黄埔（ハチソン・ワンポア）や香港電灯などの大手企業を買収し、事業規模を拡大しました。

1989年の天安門事件後、多くの外国企業が中国から撤退する中、李嘉誠は逆に中国への投資を強化しました。この大胆な戦略が、彼を香港最大の企業集団のトップへと押し上げました。特に、中国本土での発電所建設に注力し、中国の指導者たちとの深い関係を築いています。また、左派資本家の霍英東やマカオのカジノ王スタンレー・ホーとも親交があります。しかし、北米などへの投資も行っており、中国人民政治協商会議副主席への就任を断ったとも言われています。

社会貢献と慈善活動

李嘉誠は、その巨万の富を社会貢献にも積極的に活用しています。フォーブス誌によれば、2008年には世界富豪ランキングで11位にランクインしましたが、質素な生活を送り、李嘉誠基金を通じて多額の寄付を行っています。1981年には、故郷の潮州に近い場所に汕頭大学を創設し、教育分野への貢献も目覚ましいです。2004年のスマトラ沖地震では、300万米ドルを寄付するなど、災害支援にも力を入れています。

愛車と家族

香港では、高級車としてロールス・ロイスが人気ですが、李嘉誠は日産自動車の最高級乗用車である日産・プレジデントを愛用していることで知られています。これは、彼の質素な一面を表していると言えるでしょう。

李嘉誠の長男、ヴィクター・リー（李沢鉅）は長江実業の副会長兼社長であり、後継者として活躍しています。次男のリチャード・リー（李沢楷）は、香港最大の通信会社PCCWを率い、東京の丸の内にパシフィックセンチュリープレイス[[丸の内]]を建設したことでも知られています。妻の荘月明はすでに他界していますが、その死因については様々な噂があります。

まとめ

李嘉誠は、その生涯を通じて、激動の時代を生き抜き、ビジネスの世界で大きな成功を収めた人物です。彼の事業手腕と社会貢献に対する姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。また、その質素な生活ぶりは、彼の人となりを象徴するものと言えるでしょう。



関連書籍として、西原哲也著「秘録・華人財閥＝日本を踏み台にした巨龍たち」（NNA、2008年7月）があります。


外部リンク

* 李嘉誠基金会

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