李荘妃

荘妃李氏（そうひ りし）は、万暦16年10月17日（1588年12月5日）に生まれ、天啓4年10月26日（1624年12月6日）に亡くなった、明の泰昌帝の側室です。

生い立ちと入宮

李氏は、順天府通州宝坻県の庶民である李海と劉氏の娘として生まれました。万暦26年（1598年）、10歳という若さで後宮に入り、侍女として宮廷での生活を始めました。その後、皇太子であった朱常洛（後の泰昌帝）の邸に移り、選侍（皇子の側室）となります。当時、もう一人の選侍であった李氏（西李、後の李康妃）と区別するために、「東李」と呼ばれました。

李氏は温和で無口な性格で、侍女や下人たちからの評判も非常に良かったと伝えられています。皇太子からの寵愛は厚く、深い信頼関係を築いていましたが、残念ながら子供を授かることはありませんでした。

皇太子には、後に崇禎帝となる朱由検という息子がいましたが、李氏は当初、西李に代わってその養育を任されることになります。この養育を通じて、後の崇禎帝との間に深い絆を育んだと考えられます。

泰昌帝の即位と李氏の境遇

万暦48年（1620年）7月、万暦帝が崩御し、皇太子の朱常洛が泰昌帝として即位しました。しかし、泰昌帝は即位からわずか1ヶ月後の9月1日に急逝してしまいます。そのため、李氏を含む側室たちが正式に妃嬪に封ぜられることはありませんでした。

泰昌帝の死後、李氏は天啓帝により、天啓3年12月3日（1624年1月22日）に光廟荘妃（泰昌帝の廟号である光宗に基づく）に封じられました。また、弟の李国棟は従三品錦衣衛指揮同知に任じられ、家門の地位も向上しました。しかし、宮廷内では、権勢を誇っていた魏忠賢と天啓帝の乳母である客氏から冷遇を受けることとなります。

晩年と死

魏忠賢と客氏による冷遇は、李氏の心身を蝕み、憂憤の中で病に倒れました。そして、天啓4年10月26日（1624年12月6日）に37歳でその生涯を閉じました。彼女の死後、その徳を称えて「恭懿」という諡号が贈られました。李氏の墓は、翠微山に建てられ、手厚く葬られました。

崇禎帝の時代になると、李氏の弟である李国棟に荘田が下賜され、李氏の功績と人となりが改めて称えられました。李氏の墓誌銘には、彼女の温良な人柄と、皇考である泰昌帝からの寵愛、そして、死後の手厚い待遇が記されています。この墓誌銘は、「妃は徳性温良にして、儀容は敬慎であり、皇考はこれを重んじ、隆眷は特に嘉し」と述べており、彼女が人々に慕われていたことを示しています。

参考文献

『明熹宗実録』
『酌中志』
* 『恭懿荘妃李氏墓誌銘』

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