村上実

村上實：プロ野球と鉄道経営の両輪を駆る実業家

村上實（むらかみみのる、1906年8月12日 - 1999年5月4日）は、兵庫県出身のプロ野球監督にして、実業家として成功を収めた稀有な人物です。小学校時代からの友人である森田忠勇氏（関西大学野球部監督や大阪タイガース二軍監督などを歴任）との交流や、旧制天王寺中学での野球経験を経て、慶應義塾大学野球部マネージャーとしての経験を積みました。

1932年、阪神急行電鉄（現阪急阪神ホールディングス）に入社。その後、1936年にはプロ野球球団である阪急軍の創設に中心的役割を果たし、球団代表として25年間にわたって球団経営を担いました。

監督としては、1937年と1939年の2度にわたって阪急軍を率いています。1937年はチーム事情により途中就任という形でしたが、投手陣の不振により7位という結果に終わりました。1939年は、チーム最多勝の高橋敏氏（防御率リーグ2位）を筆頭に、重松通雄氏、石田光彦氏、森弘太郎氏ら投手陣の活躍、そして山下実氏、山下好一氏、上田藤夫氏、黒田健吾氏といった打線の活躍、さらにはルーキーの伊東甚吉氏や日比野武氏、そして盗塁王を獲得した山田伝氏の活躍もあり、リーグ3位という好成績を残しました。しかしながら、巨人軍には1勝もできず、2位だったタイガースにも後塵を拝することとなりました。

監督業と並行して、村上氏は球団経営に手腕を発揮し、戦後の1950年には日本野球連盟のパリーグ理事長を務め、2リーグ制、フランチャイズ制、コミッショナー制の確立に大きく貢献しました。

野球界での功績は、経営手腕へと繋がっていきました。1963年には阪急傘下の能勢電気軌道（現能勢電鉄）専務取締役に就任し、1966年には社長に昇格。沿線の宅地開発を推進するとともに、妙見線の大規模な線路改良や日生線の建設など、積極的な鉄道事業の展開により、能勢電鉄の経営を大きく発展させました。1981年に社長を退任後も、相談役として死去するまで能勢電鉄に関わり続けました。

これらの功績が認められ、1995年には野球殿堂入り（特別表彰）を果たしました。1999年5月4日、92歳で生涯を閉じました。

村上實氏は、プロ野球界に指導者、経営者として、そして鉄道業界において経営者として多大なる貢献を果たした、日本のスポーツと産業史における重要な人物と言えるでしょう。その功績は、現在もなお語り継がれています。

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