高橋敏

高橋敏（たかはし さとし）

高橋敏は、1919年に静岡県で生まれたプロ野球選手です。投手、右翼手として活躍しました。没年は不明です。

球歴

袋井市出身の高橋は、旧袋井東小時代からその才能を発揮していました。浜松元城小の松井栄造との対戦は、県下で「右の高橋、左の松井」と注目を集めました。島田商業（現・静岡県立島田商業高等学校）に進学すると、甲子園に3回出場（春2回、夏1回）を果たしました。1937年夏の大会ではエースとして出場しましたが、初戦で浅野中に惜敗しました。島田商のチームメイトには、根津辰治、大友一明、犬塚俊夫、一言多十、福田勇一など、後に大学野球や社会人野球、プロ野球で活躍する人物が多数いました。

1938年5月17日、高橋は阪急軍に入団。同年6月4日の金鯱戦でプロ初登板を果たしました。当時のエース・森弘太郎の後を受けて2番手として登板し、カーブを武器に4回1/3を1失点と上々のデビューを飾りました。同年6月24日の名古屋戦では完封勝利を挙げ、プロ初勝利を記録しました。

1939年、高橋の投球はさらに進化しました。3月28日の金鯱戦で4安打完封勝利を挙げると、5月18日の巨人戦で敗れるまで開幕7連勝（うち完封4試合）を記録しました。この記録は、2014年に西勇輝が並ぶまで、75年間阪急・オリックスの球団記録でした。さらに、開幕からの38回1/3無失点は、2021年に平良海馬に更新されるまで82年間プロ野球記録でした。同年は19完投・9完封と大活躍し、チーム最多の17勝を挙げ、防御率は若林忠志に次ぐリーグ2位の1.60という素晴らしい成績を収めました。この年、シーズン42勝を記録したヴィクトル・スタルヒンよりも防御率は上でした。また、職業野球東西対抗戦の西軍メンバーにも選出され、打撃面でもチーム3位の打率.277をマークしました。

しかし、1939年シーズン終了後、高橋は応召されました。1942年に復員し、1943年に阪急軍に復帰。しかし、投手としての実績は振るわず、戦時中の選手層の薄さから外野手（右翼手）との兼任となりました。それでも1943年から引退まで失策ゼロで切り抜けるなど、その野球センスの高さを伺わせました。打撃面では非力でしたが、選球眼が良く、四球の数が三振を上回っていました。1944年は14安打に対し20四球を選び、打率.200に対し出塁率が.378と高く、IsoD（出塁率－打率）が.178と高率でした。1946年になると、主力選手が戦地から次々と復員してきたため、出場機会が減少し、この年限りで阪急を退団しました。

社会人野球での活躍

プロ野球引退後も、高橋の野球センスは社会人野球で発揮されました。1947年に鐘紡高砂に入団すると、同年の都市対抗野球大会に出場し、チームを決勝まで導く活躍を見せました（決勝で大日本土木に敗れ準優勝）。この大会では17打数7安打、準々決勝では強豪の八幡製鉄相手にサヨナラヒットを打ち、決勝でもホームランを放ちました。1950年、1951年の都市対抗野球大会には、鐘淵化学（鐘紡高砂より改称）の補強選手として2年連続で出場。1952年には地元・富士市の日本軽金属に移籍し、1953年の都市対抗野球大会では、大昭和製紙の補強選手として、齊藤了英監督の下、黒獅子旗の奪還（優勝）を果たしました。準決勝の東洋レーヨン戦では、決勝のホームランを打っています。大会後にはハワイ遠征全日本チームにも選抜されました。

詳細情報

年度別投手成績、年度別打撃成績は省略

記録

開幕から38回1/3無失点（1939年）※プロ野球記録

背番号

20 （1938年 - 1939年）
26 （1943年）
13 （1946年）
1944年は全球団で背番号制を廃止

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