村山神社

村山神社は、愛媛県四国中央市土居町津根に位置する、歴史深い神社です。この神社は、古くは式内社（名神大社）として名を馳せ、旧社格は県社に定められていました。主祭神は天照皇大神であり、斉明天皇、天智天皇、そして天児屋根命も共に祀られています。

神社の創建年代は、天正13年（1585年）の兵火によって社殿や旧記が焼失したため、正確には不明です。しかし、社伝によれば、白鳳3年（674年）9月に斉明天皇と天智天皇が合祀されたと伝えられています。この地は、百済救援のために筑紫へ向かう途中の斉明天皇が滞在したとされる娜大津の磐瀬行宮の跡であるという説もあります。境内には70体以上の木像があり、これらは斉明天皇の近侍の像と伝えられています。また、社殿の前にある「お宝塚」は、高貴な方の御陵であるという伝承も残されています。

一般的には、娜大津は博多湾、磐瀬行宮は福岡市南区三宅に比定されています。しかし、村山神社の由緒では、『日本書紀』に「御船還至于娜大津。居于磐瀬行宮」と記されていることを根拠に、斉明天皇は伊予熟田津の石湯（現在の道後温泉）から船で東へ移動し、この地に滞在したと主張しています。この説は、歴史解釈における興味深い視点を提供しています。

村山神社は、仁寿3年（853年）に名神祭に預かる神社となり、貞観9年（867年）には正五位下、さらに貞観12年（870年）には正五位上に昇叙されました。延喜式では名神大社に列せられ、その格式の高さを証明しています。かつては、伊勢神宮への参宮を「上参宮」、村山神社への参拝を「下参宮」と称し、西国三十三ヵ国の多くの人々が、村山神社参拝を伊勢参宮の代わりとしたと伝えられています。

この神社は、河野氏や西条藩主松平家からの崇敬も篤く、江戸時代には伊曽乃神社などとともに、西条藩の祈願所六社の一つとして重要な役割を果たしていました。

境内では、毎年10月13日から15日にかけて、土居太鼓祭りが盛大に開催されます。この祭りでは、津根太鼓台、東村子供太鼓台、西村子供太鼓台、三葉会子供太鼓台、樋之口子供太鼓台といった、様々な太鼓台が練り歩き、地域を活気づけます。

村山神社は、古代からの歴史と文化を今に伝える貴重な場所であり、地域住民の心のよりどころとして、今後もその存在は大切に守り継がれていくことでしょう。

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