束稲山

束稲山 (たばしねやま)

束稲山は、岩手県の平泉町、奥州市、一関市にまたがる美しい山です。この山は標高594.9メートルで、登山者や観光客にとって非常に魅力的なスポットとなっています。束稲という名称は、稲の束がうねっている様子に由来しており、自然の美しさを象徴しています。

概要

束稲山は、経塚山、音羽山、束稲山の三つの山から成り立っています。この地域は、特にツツジの名所として知られています。毎年8月16日には、山の腹で大文字送り火の行事が催され、多くの人々が集まります。山頂に立つと、中尊寺や衣川古戦場などの歴史的名所を一望できるため、多くの観光客が訪れます。また、山の近くには一関テレビ・FM中継局も設置されています。

歴史

束稲山への登山口には、束稲荒神と呼ばれるアテルイの像があります。また、藤原泰衡の夫人が創建を命じたとされる月山神社もここに位置しています。この神社は、歴史的にも重要な場所であり、安倍頼時が桜を一万本植えたという伝説も残っています。束稲山は、古くから人々にとって重要な信仰の場でもあり、長者ヶ原廃寺跡の礎石がこの地区で採石されたことからも、その重要性が伺えます。

束稲山は、「駒形嶺」とも知られています。この名は、奥州藤原氏が近隣の駒ケ岳にある駒形神社への訪問が難しかったため、束稲山に駒形大神を祀るようになったことに由来しています。さらに、経塚山は藤原秀衡が経典を埋めた場所とされており、山頂には源義経の馬蹄の跡と伝えられる馬蹄石や、胎内石と呼ばれる安産祈願に関連する石も存在しています。平泉の栄華を訪れた西行は、「束稲山の桜が吉野の外にかかる」と詠んでおり、地域の風物詩にもなっています。

文化事業

平成27年度からは西行が詠んだ桜の復原に向けた植樹活動がスタートしています。この取り組みは地域の文化的景観を復活させることを目指しています。2015年4月には、平泉町の青木幸保町長が、束稲山麓を中心に中山間地農業を国連食糧農業機関（FAO）が推進する世界重要農業遺産システムに登録する考えを発表しました。そして2023年1月17日には、農林水産省から日本農業遺産に認定されました。

交通アクセス

束稲山へのアクセスは非常に便利です。東北本線の平泉駅から車で約30分、または前沢駅からバスを利用すれば20分で到着します。さらに、徒歩でのアプローチも可能で、その場合は約90分かかります。多くの自然愛好者や観光客が訪れるこの場所で、素晴らしい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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