東勇作

東勇作: 日本バレエ界の先駆者

東勇作（あずま ゆうさく、1910年4月18日 - 1971年8月4日）は、日本におけるバレエダンサーおよび振付家として知られ、彼の功績は今なお日本バレエ界に影響を与え続けています。彼の名は、高い技術と情熱で知られ、数多くの後進に影響を与えました。

生い立ちと初期の経歴

宮城県仙台市に生まれた東は、若干12歳の頃に横浜で開催されたアンナ・パヴロワの公演を観て感動を覚えました。この体験が、彼の人生を大きく変えるきっかけとなります。旧制仙台二中を卒業後、彼は上京し、1930年にバレエの道を本格的に歩み始めました。エリアナ・パヴロワの内弟子として学ぶことで、彼の基礎的なダンス技術が培われていきます。

以後、彼は「日本チェケッティ協会」に参加し、バレエに対する理解を深めることになります。彼の創造力はここから始まりました。1934年には、日劇を拠点に活動を開始し、益田隆、梅園竜子との「益田トリオ」を結成。これにより彼は、さらなるスキルの向上と広範な経験を積み重ねていきました。

東勇作バレエ団の設立

1941年には、「東勇作バレエ団」を設立しました。この団体の最初の公演では、クラシックバレエの名作『牧神の午後』や『レ・シルフィード』が上演され、好評を博しました。同年には、資料を基に『ジゼルの幻想』を上演し、自らアルブレヒト役を演じるなど、実践的な指導力を発揮しました。また、音楽的制約がある中で独自の解釈を施し、ショパンの楽曲を用いるなど、彼の柔軟な発想が光りました。

彼の教え子には、後に日本バレエ界での名声を得た松山樹子や松尾明美、薄井憲二といった人物が名を連ねています。彼は単なるダンサーとしてだけでなく、教育者としてもその存在感を発揮しました。

戦後の活動と影響

戦後は東京バレエ団の結成に参加し、その第1回公演『白鳥の湖』でジークフリート王子を踊るなど、再び表舞台に立ちました。その後、一時期はバレエ界から離れるものの、1954年に復帰し、いくつかの振付作品を発表しました。この時の代表作には『桜咲く国』や『はなかげ』があります。彼の作品は、いずれも彼自身の深い芸術的感性が表現されています。さらに、後進の指導にも力を注ぎ、松山バレエ団で教師として経験を積みました。

晩年と受賞

1971年、東勇作は勲四等瑞宝章を受章し、その功績が認められました。彼の生涯を通じて、バレエ界に与えた影響は計り知れず、彼の情熱と芸術への貢献は永遠に語り継がれることでしょう。彼の足跡は、今も未来のバレエダンサーたちにとっての道しるべとなっています。

参考文献

• - デブラ・クレイン、ジュディス・マックレル 『オックスフォード バレエダンス事典』 鈴木晶監訳、平凡社、2010年。
• - 公益社団法人日本バレエ協会のアーカイブより。

もう一度検索