東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社：富士山の信仰と歴史を刻む神社

静岡県駿東郡小山町須走に鎮座する東口本宮冨士浅間神社は、古くから富士山信仰の中心地として栄えてきた神社です。正式名称は冨士浅間神社、通称を須走浅間神社とも呼ばれ、県社に格付けられています。富士山須走口登山道の起点に位置し、その歴史は平安時代初期にまで遡ります。

鎮火祈願と創建

延暦21年（802年）、富士山東麓の噴火により、須走に斎場が設けられ、鎮火祈願が行われました。噴火は同年4月、鎮火祭の後、大同2年（807年）に鎮火祭の跡地に社殿が建立されたと伝えられています。この鎮火祈願と創建が、神社の起源となっています。

富士登山と御師制度

江戸時代には、東口登山道（須走口登山道）の要衝として、宿場町である須走村（現在の小山町須走）と共に発展しました。浅間神社の神主を頂点とする御師制度が確立され、その勢力は関東一円に広がりました。特に宝永大噴火による須走村の壊滅的な被害の後、御師制度はさらに重要性を増し、寛延2年（1749年）には、浅間神社の神主と小田原藩の主導で御師株が結成されました。これは、既存の御師と有力な農民からなる17名によって構成され、彼らだけが御師として神職待遇を受けることを認められた制度です。

近現代

明治維新後、国家[[神道]]の下で当初は村社でしたが、明治19年（1887年）には県社に昇格。平成19年（2007年）には、御鎮座1200年を記念して、社務所2階に富士講や社宝などを展示する記念資料館が併設されました。そして、平成25年（2013年）、富士山が世界文化遺産に登録された際には、「冨士浅間神社」として構成資産の一つに選定されました。須走登山道もまた、別途構成資産として登録されています。

境内と文化財

境内には、静岡県や小山町の天然記念物に指定されているハルニレの巨木、根上がりモミの木、エゾヤマザクラなどがあります。また、社殿は小山町有形文化財（建造物）に指定されています。これらの貴重な文化財は、神社の歴史と自然の豊かさを物語っています。

アクセス

神社へのアクセスは、JR御殿場線から富士急行バス、東富士五湖道路須走IC、東名高速道路御殿場ICから車を利用できます。

祭神

東口本宮冨士浅間神社の祭神は、木花咲耶姫命、大己貴命、彦火火出見命です。これらの神々は、富士山信仰において重要な役割を担う神々として知られています。

まとめ

東口本宮冨士浅間神社は、富士山信仰の歴史と文化を伝える重要な神社です。長い歴史の中で、富士山噴火への祈願や、富士登山、御師制度などを通して、地域社会と深く関わってきました。世界文化遺産の一部としても登録されており、その価値は国内外に認められています。神社を訪れ、歴史と自然に思いを馳せることで、日本の文化と信仰の深さを体感できるでしょう。

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