東和町 (宮城県)

宮城県登米市東和町：歴史と自然に彩られた地域

2005年4月1日、宮城県北東部、岩手県との県境に位置していた東和町は、登米市への合併によりその歴史に幕を閉じました。しかし、その豊かな自然と歴史、そして独自の文化は、登米市の一部として現在も息づいています。本稿では、東和町の概要、歴史、地理、文化、そして人々の暮らしについて掘り下げていきます。

東和町の概要

東和町は、宮城県登米郡に属し、同県の北部に位置していました。町域の約80%を山林が占め、自然豊かな環境に恵まれていました。北上川や二股川といった河川が流れ、高城山や蚕飼山といった山々が町を囲んでいました。

歴史：町村合併と発展

東和町の歴史は、1889年の市町村制施行に遡ります。この時、現在の東和町にあたる地域には米川村、錦織村、米谷村が誕生しました。その後、幾度かの合併を経て、1957年5月1日、米谷町と日高村（米川村と錦織村の合併）が合併し、東和町が誕生しました。

東和町は、その後も発展を続け、多くの学校や公共施設が整備されました。教育面では、東和中学校や複数の小学校、幼稚園、保育所などが設置され、地域住民の生活を支えていました。

しかし、2005年4月1日、登米郡の各町と本吉郡津山町が合併し、登米市が発足。東和町は登米市の一部となりました。最後の町長は浅野敬氏（2001年5月～2005年3月）でした。

地理：山林と河川に囲まれた自然環境

東和町の地理的特徴は、豊かな自然環境にあります。総面積の80%が山林で、高城山と蚕飼山が町のシンボルとして聳え立っていました。北上川と二股川という主要な河川が流れ、町に潤いを与えていました。

周辺自治体としては、宮城県内では登米郡の中田町、登米町、本吉郡の志津川町、本吉町、そして岩手県からは東磐井郡の藤沢町、西磐井郡の花泉町と隣接していました。

文化：祭り、名所旧跡、そして人々の暮らし

東和町には、古くからの伝統文化が数多く残されています。特に有名なのは、「米川の水かぶり」という祭りです。2月の初午に行われるこの祭りは、国の重要無形民俗文化財に指定されており、2018年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。他にも、綱木之里大名行列やキリシタンの里まつりなど、地域独特の祭事が行われていました。

名所旧跡としては、鱒淵川のゲンジボタル、馬頭観音堂（華足寺）、米川カトリック教会、後藤寿庵の碑、三経塚（隠れキリシタンゆかりの地）、不老仙館、東陽寺（原田宗輔の菩提寺）、三滝堂、大慈寺などがあります。機織沼は西郡新左衛門夫妻の碑や湖水城跡がある歴史的な場所でもあります。蚕飼山は町を見下ろすようにそびえ立つシンボル的な山です。

交通：道路網とアクセス

東和町内には鉄道路線はありませんでした。最寄りの駅は、かつて仙北鉄道の米谷駅でしたが、これは中田町にありました。

交通手段としては、国道346号、国道398号、国道456号などの一般国道や、宮城県道・岩手県道188号綱木黄海線、宮城県道・岩手県道189号東和薄衣線、宮城県道202号東和登米線、宮城県道233号馬籠東和線などの都道府県道が整備されていました。

教育：地域を支えた教育機関

東和町には、宮城県米谷工業高等学校をはじめ、東和中学校、そして複数の小学校、幼稚園、保育所が設置されていました。1976年には、米川中学校、錦織中学校、北上中学校が統合され、東和中学校となりました。

国際交流：バーノン市との姉妹都市提携

東和町は、海外との交流にも積極的で、1986年にはアメリカ合衆国のバーノン市と姉妹都市提携を結んでいました。

まとめ：消えた町、残された歴史と文化

東和町は、合併により登米市の一部となりましたが、その歴史と自然、そして文化は、登米市の貴重な財産として受け継がれています。かつて東和町で暮らした人々の記憶、そしてその土地に息づく文化は、未来へと繋がっていくでしょう。

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