東山霊山城の戦い

東山霊山城の戦いとは

東山霊山城の戦いは、戦国時代の京都で起きた合戦の一つです。この戦いは、室町幕府将軍・足利義輝と、有力な戦国大名である三好長慶との対立が背景にありました。戦いの結果、義輝は京都から追われ、長期間にわたって幽閉されることになります。

戦いに至る背景

天文17年（1548年）、三好長慶は細川晴元に反旗を翻し、翌年には江口の戦いで勝利を収めて京都を制圧しました。これにより、晴元や将軍・義輝とその父である足利義晴は近江坂本へと退却を余儀なくされます。その後、義晴と義輝は京都奪還を目指し、中尾城や将軍山城を築城・増築しますが、三好軍の前に一戦も交えることなく撤退。これらの城は自焼されたり、三好氏によって破却されたりしました。

義輝と長慶の間で一時的に和睦が成立したものの、細川晴元らの脅威は依然として存在していました。そのため、天文21年（1552年）に東山霊山城の築城が開始されました。しかし、この和睦は長くは続かず、両者は再び敵対することになります。

戦闘の経過

天文22年（1553年）3月、義輝は霊山城に入城し、長慶との対立を鮮明にしました。この頃、幕臣の一部が晴元と内通し、長慶を排除しようと画策していました。晴元が京都西北に出没したことで、長慶は内通者の人質を要求し、それが義輝の怒りを買ったことが、再度の対立へと繋がりました。

7月には、長慶が芥川山城を攻めている隙をついて、晴元が丹波から侵攻。三好方の小泉秀清が守る西院小泉城周辺に放火しました。さらに、細川方の軍勢が西院小泉城を攻撃し、義輝も晴元と手を結んで北山に陣を構えましたが、晴元側の諸将が攻撃を躊躇したため、西院小泉城は陥落を免れました。


8月1日、長慶が救援のために上洛し、東山霊山城への攻撃を開始。義輝は船岡山に陣を敷き、霊山城は松田監物、三宝院衆、磯谷氏らが守備を担当しました。三好方の今村慶満率いる軍勢が霊山城を攻撃。激戦の末、守備側の松田監物が自害し、三宝院衆にも負傷者が出ました。霊山城は火に包まれ、陥落しました。

霊山城陥落後、義輝は船岡山に籠城しますが、三好軍の追撃を受け、丹波山国荘を経由して近江朽木へと逃れました。この結果、義輝は5年もの間、朽木に幽閉されることになります。

戦いの影響

東山霊山城の戦いは、室町幕府の権威を大きく揺るがす出来事となりました。足利義輝は京都を追われ、三好長慶が実質的な支配権を握ることになります。この戦いは、戦国時代の激しい権力闘争の一側面を示すとともに、地方勢力が台頭していく時代を象徴する出来事となりました。

参考文献

天野忠幸『三好長慶 諸人之を仰ぐこと北斗泰山』ミネルヴァ書房、2014年。
山田康弘『足利義輝・義昭 天下諸侍、御主に候』ミネルヴァ書房、2019年。
今谷明『戦国時代の貴族』講談社、2002年。
京都大学考古学研究会「東山霊山城について」『第53とれんち』2012年。
福島克彦「洛中洛外の城館と集落――城郭研究と首都論――」高橋康夫編『中世のなかの「京都」』新人物往来社、2006年。
戦国合戦史研究会編著『戦国合戦大事典 六 京都・兵庫・岡山』新人物往来社、1989年。
長江正一『人物叢書 三好長慶』吉川弘文館、1968年。
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』洋泉社、2007年。
福島克彦『戦争の日本史11 畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館、2009年。

関連項目

日本の城一覧
日本の合戦一覧
細川政権 (戦国時代)
* 三好政権

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