東川王

東川王の治世と足跡

東川王（とうせんおう、209年 - 248年9月）は、高句麗の第11代王であり、227年から248年まで在位しました。彼は先代の山上王の子で、若いころから太子に選ばれ、王位に就く際には多くの期待が寄せられました。幼名は郊彘で、東壌王という別名でも知られています。

治世の背景

東川王の治世は、魏と呉の対立が織り成す難しい外交情勢の中で展開されました。特に、公孫氏という勢力が魏と呉の双方に属していたため、彼らの動向は高句麗の外交に大きな影響を与えました。233年、呉との連携を恐れた魏が公孫氏を攻撃し、これが高句麗に新たな外交の道を開くことになります。この過程で、呉の使者が高句麗に逃れてきて、東川王との接触が生まれました。そこで高句麗は呉との同盟を結ぶ決断を下しました。

魏との関係の変遷

しかし、外交方針は次第に変化し、236年には東川王が呉の使者を斬り、その首を魏に送る事件が発生します。以後、彼は魏との関係を重視し、237年には魏の改元を祝う使者を送り、238年には公孫淵討伐のために魏に兵を派遣しました。公孫氏が滅んだ後、東川王はその影響を受け、244年には毌丘倹の侵攻を受けました。この際、国都の丸都城を失うことになり、東川王は南沃沮まで逃れる事態に陥りましたが、彼を救ったのは王直属の部下たちでした。

戦後の復興

偽りの投降後、王が援助を試みた結果、魏軍は撤退し、東川王は再び国都に戻ることができました。ここで、直接の忠臣である劉屋句らが多くの恩賞を受けることになると同時に、部族制から貴族制の国への移行が見られました。そして245年には、丸都城の荒廃を理由に、新たに平壌城を築いて遷都しました。ただし、新たな都市は当時魏の楽浪郡がある地域に位置しており、平壌という名は彼の治世の重要な変遷を象徴しています。

国際関係の動き

外交の一環として、245年には日本海地方から美女が献上され、後宮に迎え入れられました。また同年、248年に新羅の北辺を侵攻し、その後使者が送られたことで新羅との和議を結びました。これらの動きは、彼の治世における国際的な影響力の拡大を示しています。

死去とその後

248年9月、東川王は在位22年を経て亡くなり、柴原に埋葬されました。彼の死に際しては、近臣たちが殉死を希望する者が多かったとされています。次代の中川王はこの習慣を許可しなかったものの、葬儀の日には多くの者が墓所に詰めかけ、彼の死を悼む光景が見られました。そのため、柴原という地名が付けられることになりました。

東川王の顕著な特徴は、埋葬された地名と彼の諡号との違いに加え、葬儀に関連した地名の変遷が記されている点です。彼の治世は高句麗の歴史において重要な瞬間を形成しており、後の高句麗王の諡号にも影響を与えました。

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