東所沢電車区

東所沢電車区（ひがしところざわでんしゃく）は、かつて埼玉県所沢市東所沢4丁目に所在した東日本旅客鉄道（JR東日本）八王子支社の組織名であり、東所沢駅北側に設けられていた車両基地の名称でもあります。この組織は、武蔵野線を担当する運転士が所属する乗務員区としての機能と、武蔵野線で運行される電車の検査、清掃、留置を行う車両基地としての役割を併せ持っていました。しかし、時代の変化と共にその役割を終え、2024年3月15日限りで廃止され、現在は「武蔵野統括センター（運輸）」の一部としてその業務が継承されています。なお、廃止時点では、この電車区に固定で配置されている車両はなく、入庫する車両は全て京葉車両センターの所属となっていました。

当電車区の歴史は、武蔵野線が府中本町駅から新松戸駅間を開業させた1973年4月1日に始まります。この新規開業区間の運行を円滑に行うため、必要な車両のメンテナンスや留置場所、そして列車の安全運行を担う乗務員の拠点が求められ、開設されました。主な業務は、武蔵野線を走行する電車の滞泊基地として、夜間などの留置、日常的な清掃、そして基本的な仕業検査を実施することでした。車両基地内には、電留線が19線（1・2・4 - 20線）設けられており、そのうち4番線は洗浄作業に対応していました。また、電留線のうち一部（2・4・11・14・17・18番線を除く）には、パンタグラフの検査に必要な設備が設置されており、仕業検査が効率的に行えるようになっていました。所属する乗務員は、運転士のみで構成されていました。

当区に所属する運転士の乗務範囲は、武蔵野線を中心に広範に及びました。定期列車としては、武蔵野線の全区間である府中本町駅から西船橋駅間を担当しました。さらに、京葉線との直通列車や京葉線内の運用も担当し、西船橋駅から海浜幕張駅および東京駅までの区間も乗務範囲に含まれていました。武蔵野線を経由して他線区へ直通する特急「むさしの号」に乗務する際には、中央本線の国立駅から八王子駅間、そして東北本線の与野駅から大宮駅を経由し東大宮操車場（大宮総合車両センター東大宮センター）までの区間も運転しました。また、団体列車や臨時列車を担当する際には、鶴見駅から府中本町駅間の武蔵野線経由での乗務もあり、その活動範囲は多岐にわたっていました。

東所沢電車区の歴史をたどると、1973年4月1日の開設以降、武蔵野線や京葉線の延伸開業に合わせて乗務範囲が拡大されてきました。1978年10月2日には武蔵野線が西船橋まで、1988年12月1日には京葉線の一部（新木場－南船橋間、市川塩浜－西船橋間、千葉港－蘇我間旅客営業開始）、1990年3月10日には京葉線が東京駅までそれぞれ開業・延伸され、段階的に担当する路線が増加しました。車両に関しては、2004年3月12日に武蔵野線用電車が豊田電車区から京葉電車区に集約されたことで、当区には車両が配置されなくなりました。2010年12月4日のダイヤ改正では、特急「むさしの号」が定期列車化され、中央本線や東北本線への定期的な乗務が始まりました。基地内の業務運営については、2012年10月に構内の入換作業が、2013年10月には構内計画および仕業検査業務が、それぞれJR東日本運輸サービス東所沢事業所へ外部委託されるようになりました。そして、2024年3月16日、組織再編によりさいたま車掌区の一部行路と統合され、新たに武蔵野運輸区が発足したことに伴い、東所沢電車区はその約51年にわたる歴史に幕を下ろしました。現在は武蔵野統括センター（運輸）の一部門として、かつての機能の一部を引き継いでいます。

もう一度検索