東方朔

東方朔について

東方朔（とうぼう さく、紀元前154年 - 紀元前93年）は、前漢時代において特に著名な政治家であり、その業績や伝説的な側面から多くの人々に記憶されています。彼は平原郡厭次県（現在の山東省浜州市恵民県）に生まれ、自らの才能と知識から武帝によって重要な役職に任命されました。朔の字は曼倩と呼ばれ、歴史に名を残す存在となったのです。

人物像

朔は自らを武帝に推薦し、22歳の若さで大臣に適任であるとして期待されました。彼の知略は高く評価され、次第に神格化されることになります。唐代の詩人李白は、彼を「世人不識東方朔、大隠金門是謫仙」と称え、知恵と機知に富む者として讃えています。さらに、彼のコミカルな性格から、中国では相声の神様としても尊敬されています。

彼の著作には『答客難』や『神異経』があり、これらは彼の博学を裏付ける典籍となっています。

『史記』における記述

『史記』の「滑稽列伝」では、朔の経歴が詳細に描かれています。彼は古文書や経学を愛し、幅広い読書を続けることでその知識を深めました。特に長安に初めて入城した際、3000枚の竹簡に書かれた文書を武帝に提出し、そこから彼の才能が認められます。その後、武帝の側近として重用され、しばしば武帝の話し相手を務めました。激しい性格を持つ武帝も、朔と話すことによって機嫌を良くし、金品や食事の接待を度々行ったとされています。

朔は食事の際に残った肉を懐に入れて帰る様子から、彼のユーモラスな一面が垣間見えます。このような行動は時折、周囲からは狂人視されることもありましたが、武帝は彼の能力を高く評価し続けました。彼は、自らの知識を権力を追求するためではなく、学問の修練と徳を重んじるために行っていると語ります。

伝説と逸話

朔にまつわる多くの逸話が残されています。例えば、騶虞という動物を見てその名と遠方の国に関する予知をしたり、武帝の行き先を妨げる怪物を見抜いて対策を教えた話が有名です。これにより彼は怪現象に関する権威としても知られるようになります。また、彼にまつわる伝説は数多く、例えば西王母の故事と絡めた創作や、彼が長寿を自慢する話などが一般に知られています。

日本の能楽にも影響を与えた赴きがあり、島根県や山口県に伝わる伝説では、朔は仙人として出会った他の長寿の者たちと自らの長寿を競い合う姿が描かれています。彼らとの出会いから、朔の幽玄なイメージが強まったと言えます。

まとめ

東方朔は、そのユーモラスな性格と博学から多くの人に愛され、社会や文芸において長い間語り継がれています。彼の生き方や言動は、後の時代においても大きな影響を与えており、今なお多くの人々に親しまれる存在であることは間違いありません。

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