東方萃夢想 〜 Immaterial and Missing Power.

東方萃夢想 〜 Immaterial and Missing Power.

『東方萃夢想 〜 Immaterial and Missing Power.』は、同人サークル黄昏フロンティアと上海アリス幻樂団が共同で製作した対戦型格闘ゲームです。本作は、黄昏フロンティアが東方Projectの二次創作ゲーム開発を申請した際、上海アリス幻樂団が共同開発を提案し、実現した公式作品であり、東方Project第7.5弾と位置づけられています。

物語は、『東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom.』と『東方永夜抄 〜 Imperishable Night.』の間に起こった出来事を描いており、作品の発表順は『東方永夜抄』よりも後ですが、ストーリー上の位置づけから第7.5弾とされています。以降、本項では『萃夢想』と称します。

概要

本作は、東方Projectの登場人物を起用した対戦型格闘ゲームであり、ゲーム制作は黄昏フロンティアが担当しています。ZUNは監修、テキスト部分（必殺技名など言葉になっている部分）、技や服装などの設定、一部の楽曲やシステムグラフィック、ジャケットとCDレーベル、新規登場人物などを担当しています。

登場キャラクターは、『東方永夜抄』の自機である8人に加え、『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』の4面ボスである「パチュリー・ノーレッジ」、そして新規キャラクター1人の計10人です。公式サイトで配布されているパッチを適用し、特定の条件を満たすと、『東方紅魔郷』3面ボスの「紅美鈴」が追加され、11人となります。ただし、紅美鈴はストーリーモードには登場せず、対戦専用キャラクターです。

2004年4月2日に製作発表が行われ、博麗神社例大祭（4月18日）にて動作試験版（CD-R）、コミックマーケット66の3日目（8月15日）にて体験版（プレスCD）が頒布され、コミックマーケット67の2日目（12月30日）にて完成版が頒布され、同日に同人ショップでの委託販売も開始されました。

あらすじ

『妖々夢』で発生した春雪異変が解決し、長い冬が終わった幻想郷。博麗霊夢ら少女たちは、3日おきに終わることのない宴会を繰り返していました。しかし、宴会の度に怪しい妖霧が発生し、少女たちはその異変の原因を突き止めようと動き出します。この異変は新聞記者の射命丸文によって記事にされ、「三日置きの百鬼夜行」と名付けられました。

異変の犯人は、幻想郷から消えたはずの種族である鬼の伊吹萃香でした。春雪異変の影響で花見の宴会を楽しめる期間が短かったことを不満に思った萃香は、自身の能力で幻想郷中に霧のように拡散し、人妖の心を萃（あつ）めて宴会を何度も行わせるように仕向けていたのです。

幻想郷では鬼退治の方法が失われており、少女たちは鬼を退治することができませんでした。しかしその後、霧は無くなり、宴会の回数も徐々に減っていきました。

基本システム

本作は弾幕対戦型格闘ゲームであり、従来の格闘ゲームとは大きく異なるシステムが特徴です。

自機

性能の異なる複数のキャラクターから1人を選択し、スペルカードを2枚選択します。最初は6人しか選択できませんが、条件を満たすことで最終的に11人から選択可能になります。

特殊動作

ダッシュ、高速ジャンプ: 移動キーの二連続入力、またはDボタン＋移動キーでダッシュ、空中ダッシュ、高速ジャンプが可能です。空中ダッシュは通常2回、レミリアのみ3回まで可能です。これらの動作中は後述するグレイズ状態になるため、重要な回避手段となります。
グレイズ: ダッシュ、空中ダッシュ、高速ジャンプ上昇中、一部攻撃技の発動中などに付与される状態です。射撃属性の攻撃に接触した場合、ダメージを受けません。一見回避不能な弾幕に対し、ダッシュで突っ込むという選択が基本となります。ただし、グレイズ無効の飛び道具も存在します。
霊撃（ボム）: 敵を吹き飛ばす攻撃で、攻撃範囲は狭いですが一定時間無敵になります。ガード中や攻撃をキャンセルして発動させることも可能です。連続攻撃の継続や、敵の連続攻撃からの脱出に用いられます。
ガード: 立ち（上段）ガード、しゃがみ（下段）ガード、空中ガードの3種類があります。不適切なガードでもガード自体は可能ですが、霊力が減少します。
クラッシュ攻撃: 通常の攻撃よりも威力が高く、ガード方向を間違えると一撃で霊力を0にできます。
カード宣言: スペルカードを使用するために必要な動作です。カード宣言を行うと、自分の体力ゲージの赤い部分が回復し、一定時間スペルカードを使用した攻撃が可能になります。

パラメータ関係

残機: ストーリーモードのプレイヤー側にのみ設定されています。カードをすべて失うと減少し、残機がない状態でカードをすべて失うとゲームオーバーになります。
ライフ: 敵の攻撃を受けると減少し、なくなるとカードを失います。
符力: 攻撃を当てる、受ける、ガードする、グレイズするなどによって増加し、スペルカード攻撃を行うと消費します。最大9までストック可能です。
霊力: 飛び道具、スペルカードを使用する、飛び道具をガードする、不適切なガードを行うなどによって減少します。時間経過で自動的に回復しますが、無くなると一定時間「ひるみ」状態となり、行動不能になります。また、ガードしてもダメージを受けるようになり、空中ガードも不能になります。

スペルカードシステム

『萃夢想』のスペルカードシステムは、他の作品と比較して大きな違いがあります。

概要・勝敗ルール: キャラクター選択後、所持するスペルカードを選択します。各キャラクターには6枚のカードがあり、壱符と弐符の2種類から1枚ずつ選んでゲームを開始します。最初は壱符を使って戦い、ライフが無くなるとカードを失い、弐符を使って戦います。弐符を失うと敗北となります。
カードの使用: カードを使用するには符力が必要です。符力が1以上溜まっていればカード宣言を行うことができ、宣言後一定時間内に所定のコマンドを入力することでスペルカードが発動します。カードは符力の数字の部分の回数だけ使用可能です。カード宣言は、自分か相手がカードを失うまで再度宣言することができません。
ストーリーモードでのスペルカード: 敵CPUが使用するスペルカードは、壱符・弐符の概念がなく、3枚以上のスペルカードを所持している場合もあります。発動も敵のライフを一定量減らした時に自動的に発動します。発動すると制限時間が表示され、時間内に敵のライフを規定以下にすればスペルカードを取得できます。グレイズや回避を前提とした高誘導、高密度、広範囲への弾幕攻撃が殆どであり、スペルカード発動中のCPUはスーパーアーマー状態になっています。

登場人物

新規の登場人物

伊吹 萃香（いぶき すいか）: 幻想郷に現れた鬼。詳細については、前述の解説を参照してください。

既存の登場人物

博麗霊夢、霧雨魔理沙、十六夜咲夜、アリス・マーガトロイド、パチュリー・ノーレッジ、魂魄妖夢、レミリア・スカーレット、西行寺幽々子、八雲紫、紅美鈴

曲目リスト

(曲目リストは省略)

外部リンク

東方萃夢想公式サイト（黄昏フロンティアのページ）
* 東方萃夢想公式ページ（上海アリス幻樂団のページ）

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