東林寺 (郡上市)

東林寺は、かつて岐阜県郡上市大和村牧に存在した臨済宗の寺院です。この寺院は、郡上郡を治めていた東氏ゆかりの尼寺として知られています。

創建年については正確な記録が残っていませんが、初代住持である素順尼が東益之の娘であり、永享12年（1440年）に父と共に周防へ流罪となったという記録から、少なくともそれ以前に創建されたと考えられています。2世住持の宗雲尼も東益之の娘でしたが、若くして亡くなったため、再び素順尼が住持を務めることとなりました。東林寺には、東常縁の兄弟たちの墓が複数存在したと伝えられています。

しかし、天文10年（1540年）の篠脇城の戦いにおける兵火により、東林寺は焼失してしまいました。その後、再建されることなく廃絶し、歴史の中に埋もれていきました。

宝暦9年（1759年）に、牧村の地主であった彦右衛門によって寺跡が発掘され、その際、懸仏6体と和鏡2面が発見されました。これらの遺物は、応徳寺に預けられ、発掘年次と場所が明確な歴史資料として貴重であることから、「東林寺跡出土品及び出土記録」として岐阜県指定重要文化財に指定されています。

現在、東林寺の寺跡には五輪塔や宝篋印塔が残っており、「東林寺跡古墓群」として郡上市の史跡に指定されています。この場所は、かつて東氏一族が信仰し、暮らした場所の面影を今に伝える貴重な場所となっています。

参考文献
大和町　『大和町史 通史編』上巻 p368 1984年9月

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