篠脇城

篠脇城

篠脇城は、岐阜県郡上市大和町牧の篠脇山山頂に築かれた山城です。国の史跡「東氏館跡及び篠脇城跡」として指定されています。

概要

篠脇城は、栗巣川左岸の標高約523mの地点に位置し、周辺地域を支配していた東氏が8代、約230年にわたって居城としました。地理的には、北は牛道郷、北東は寒水、東は小駄良に通じる要衝であり、西方には長良川が流れています。城の北側麓には東氏館跡庭園があります。

歴史

『大和村史』によると、築城は初代・東胤行の晩年に始まり、14世紀前半の四代・東氏村の時代に本格的に完成し、居城を移したとされています。東胤行は承久の乱での功績により美濃国郡上郡山田庄を与えられ、郡上東氏の開祖となりました。14世紀初頭には、東氏村が阿千葉城から篠脇城へと拠点を移したと考えられています。

1468年（応仁2年）には、斎藤妙椿の攻撃を受けて落城しますが、関東にいた東常縁がこの情報を聞き、詠んだ歌が妙椿に伝わったことで、贈歌10首と引き換えに城が返還されたという逸話が『鎌倉大草紙』に記されています。1471年（文明3年）から1477年（文明9年）にかけては、宗祇が篠脇城に常縁を訪れ、古今伝授を受けました。

1540年（天文9年）には朝倉氏が侵攻し、第11代当主の東常慶がこれを撃退しましたが、翌1541年には居城を赤谷山城へ移したため、篠脇城は廃城となりました。その後、遠藤氏が東氏の後を継ぎ、郡上八幡城を本拠としました。

構造

年不詳の『篠脇城跡略図』によると、城の麓には東西に土井（土居）が築かれ、中央に門口、東方に矢場、西方には馬場があったとされています。土井で囲まれた内部には東氏の館がありました。現在、山麓の登り口には表門跡とされる礎石が残っています。山頂には三段の平地があり、最上段が本丸跡と推定されています。山上の曲輪を囲むように掘られた畝状竪堀がこの城の大きな特徴であり、地元では「臼の目堀」と呼ばれています。畝状竪堀は深さ2-3メートル、底幅2メートル、長さ10-40メートルで、そのうち2本は山麓まで続いています。南側は尾根続きであるため、土塁や堀切を設けて防御を固めています。二の丸の西北には湧水があり、城の飲料水として利用されていたと考えられています。

2020年からは、郡上市教育委員会による発掘調査が実施され、庭園を備えていたことが判明しました。庭園跡地からは景石のほか、池の跡とみられる窪地が見つかっています。

現地情報

所在地: 岐阜県郡上市大和町牧（篠脇山）
交通アクセス（登城口）
長良川鉄道越美南線徳永駅より東へ徒歩約30分

参考文献

日本歴史地名大系（オンライン版） 小学館

関連項目

日本の城一覧
東氏
郡上市
赤谷山城
* 畝状竪堀

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