東洋バス

東洋バス株式会社

東洋バス株式会社は、千葉県千葉市に本社を置く、八千代市を中心に路線を展開するバス会社です。大手系列に属さない独立系の中堅バス事業者で、子会社に千葉シーサイドバスがあります。京急グループの東洋観光や、沖縄県の東陽バスとは無関係です。

概要

本社は千葉市花見川区の幕張駅近くにあります。2000年以降のバス事業規制緩和の影響を受け、2002年に輸送密度の低い幕張周辺の路線を子会社の千葉シーサイドバスに委譲し、経営改善を図りました。

運賃は対キロ区間制で、以前は中型バスの一部路線を除き、前乗り運賃前払い申告制でしたが、2008年1月29日から均一運賃の勝田台駅北口 - 村上団地線を除き、整理券方式の後乗り後払い方式に変更されました。

長らく交通系ICカードが利用できませんでしたが、2020年3月15日にPASMO・Suicaが利用可能となり、同時に金額式IC定期券が発売されました。従来の紙式定期券と回数券は販売を終了し、バス利用特典サービス（バス特）にも対応しました。これにより、全路線が後乗り後払い方式となりました。

沿革

創立時（1948年～）

東洋バスは1948年に木島義夫によって設立されました。設立の背景には、岩戸地区と長作地区の交通利便性向上の必要性がありました。

当時、岩戸周辺には北方面へのバス路線はありましたが、南側（京成臼井駅方面）への交通手段がありませんでした。印旛沼によって隔てられており、徒歩と渡し船で4時間もかかっていたため、印旛沼を避けて西側の八千代（大和田）方面へのバス運行が計画されました。

また、長作地区は京成実籾駅が近かったものの、南側にバス路線を設ければ省線（後の国電総武線）幕張駅と接続し、東京や千葉市中心部へのアクセスが向上すると考えられました。

これらの理由から、1948年に大和田-岩戸間のバス路線が開通しました。当初のルートは不明ですが、現在は下宿-保品間を短絡的に結ぶルートに対し、開通当初は逆水や神野を経由していたとされています。幕張側の路線についても詳細は不明です。

八千代町の団地の通勤手段（1954年頃～）

1954年1月に千葉郡大和田町と睦村が合併し八千代町が誕生しました。同年9月には印旛郡阿蘇村とも合併し、現在の八千代市に近い形となりました。1967年1月1日に市制を施行しています。

1956年に八千代台駅が開業し、翌年には八千代台団地が完成しました。これにより、八千代市の人口が急増し、東洋バスの路線拡大の大きなきっかけとなりました。当初は大和田駅を起点としていた路線の一部が、八千代台駅発着に変更されました。

1962年には八千代工業団地が完成し、大和田駅と八千代台駅から工業団地への路線が開通しました。一部便はさらに先の城橋、内宿、米本（現・阿蘇小学校）を経て下高野まで運行されていたようです。また、1965年前後には八千代市内循環線も開通しています。

米本団地（1970年入居開始）、高津団地（1971年入居開始）への路線も開通し、東洋バスは現在の路線エリアの原型を形成しました。

白井線の開通（1974年頃～）

1974年頃、白井線が開通しました。この路線は、大和田駅と白井を結び、神尾橋より先の印西町（現印西市）や白井町（現白井市）へ足を延ばしました。京成電鉄が運行していた神崎線や草深線の廃止区間を、東洋バスが引き継ぐ形で開通しました。

白井線の開通後、佐倉市への乗り入れも始まりました。大和田駅〜下市場〜上志津入口〜志津駅線が開通し、京成の志津線の区間廃止に伴い、勝田台駅〜上志津入口間の路線を東洋バスが引き継ぎました。

小室への延伸、新山営業所の開設（1980年頃～）

1982年4月8日、米本団地線が小室駅まで延伸されました。これにより、八千代台駅〜米本団地線は村上橋を経由するルートに変更されました。1983年3月15日には、八千代台駅〜村上団地線も村上橋経由で開通しました。

路線エリアが北へと拡大し、大和田を通らない路線が増えたことから、国道16号沿いに新山営業所が新設されました。1984年4月13日には、八千代台駅および岩戸から新山車庫に至る系統が新設されました。

岩戸線の短縮

1984年に新川大橋が開通し、1987年にはゆりのき台団地への入居が始まり、萱田地区が新たな住宅地として発展しました。これに伴い、東洋バスは新川大橋を通る路線を新設し、幕張〜八千代台線の勝田台への延長や、勝田台駅〜ゆりのき台〜睦台運動広場線の開通が行われました。

一方、大和田駅〜勝田台駅間の路線は減便され、岩戸線は勝田台駅北口発着となり、上高野工業団地内を経由するルートに変更されました。同時に、上高野循環線が新設されました。

ゆりのき台営業所の新設

1989年にゆりのき台営業所が開設され、大和田営業所は閉鎖されました。ただし、大和田駅周辺は折返場として残されました。同時に、路線の大幅な改変が実施されました。

東葉高速鉄道の開通

1996年4月27日に東葉高速鉄道が開通し、八千代市内に4駅が開業しました。これを受け、八千代台～大和田線は八千代中央駅行きに変更され、路線網が大幅に再編されました。岩戸線の一部は印旛中学校まで延伸されました。

幕張地区の分社化

幕張地区の路線は、幕張駅〜長作町線は堅調でしたが、幕張駅〜八千代台駅線は乗客が少なかったため、2002年 2月1日に子会社である千葉シーサイドバスを創設し、幕張地区の路線を同社に委譲しました。これにより、東洋バスの路線エリアは八千代市内に集約されました。

営業所など

本社

東洋バスの本社は、JR東日本幕張駅北口の近くにあります。子会社の千葉シーサイドバスの本社も同じ場所にあります。

新山営業所・車庫

東洋バスの唯一の営業所であり、国道16号線沿線の八千代松陰中学校・高等学校の近くにあります。スクールバス用の車両も在籍しています。

過去の営業所

以前は、八千代中央駅の真西にゆりのき台営業所がありましたが、閉鎖されました。この営業所はもともと大和田駅南側にあった大和田営業所が移転してきたものでした。

貸切事業

貸切部門は、2001年にニュー東洋バスとして分離独立しましたが、2009年に東洋バス本体に統合されました。

路線バス（現行路線）

米本団地線

勝田台駅南口と米本団地を結ぶ路線です。1970年に運行を開始し、その後小池、小室駅へと延伸されましたが、2003年に米本団地までの運行に短縮されました。ラッシュ時には「陸橋経由」の便も運行されます。

米本八千代中央線、米本八千代台線、米本医療センター線

八千代中央駅から米本団地に至る路線です。米本団地からは市役所や医療センターへのアクセスを確保しています。2019年4月15日に八千代台駅 - 米本団地線は廃止されました。

八千代台医療センター線、八千代中央医療センター線

八千代工業団地を通る路線です。運行回数は比較的多いですが、運行ダイヤは等間隔ではありません。

村上団地線

勝田台駅北口と村上団地を結ぶ路線です。1976年に路線を開設しました。2022年5月1日に運転区間が村上団地・村上車庫まで延長されました。

八千代中央村上線

八千代中央駅と村上団地を結ぶ路線です。2022年5月1日に村上団地・村上車庫まで延伸されました。

高津団地線

八千代台駅西口と高津団地を結ぶ路線です。八千代台駅〜高津川間は高頻度で運行されています。ラッシュ時には新道経由の便も運行されます。

八千代台緑が丘線、高津団地緑が丘線

八千代緑が丘駅を発着する路線です。高津団地を経由し、実質的には八千代台駅まで通し運行しています。

八千代台八千代中央線

八千代台駅と八千代中央駅を結ぶ路線です。緑が丘駅経由とグランド前経由の2ルートがあります。

岩戸線関連

勝田台駅北口を発着する、もえぎ野車庫方面や阿宗橋方面への路線です。岩戸線は東洋バス創業時の路線でしたが、2006年に休止されました。もえぎ野線は大幅増回され、阿宗橋線は経路が変更されました。2024年12月には、[65]系統が新設されました。

上高野循環線

勝田台駅北口を発着する循環路線です。2024年12月に経路が変更され、西工団～工業団地入口間を循環する形態となりました。

代替バス（コミュニティ路線含む）

八千代市コミュニティバス

八千代市内を循環するコミュニティバスで、東洋バスが運行を担っています。南部コース、村上駅コース、平戸橋コース、阿蘇小学校通学支援コースの4コースがあります。

八千代市公共施設循環バス（ぐるっと号）

八千代市内の公共施設を結ぶ循環バスです。Aコース、Bコース、Cコースの3コースがあります。

スクールバス

新山営業所では、八千代松陰中学校・高等学校、千葉英和高等学校、秀明大学のスクールバスも運行しています。

廃止・撤退路線

大和田営業所

大和田営業所を発着していた路線は、営業所の移転後に全て廃止されました。

米本団地～小室駅

米本団地から小室駅を結ぶ路線は、2003年に廃止されました。

（米本）下宿～神野十字路

下宿から神野十字路を結ぶ路線は、廃止時期不明です。

（米本）下宿～白井中学校

下宿から白井中学校を結ぶ路線は、廃止時期不明です。

阿蘇橋～岩戸

阿蘇橋から岩戸を結ぶ路線は、廃止時期不明です。

中学校入口～下高野

中学校入口から下高野を結ぶ路線は、廃止時期不明です。

上高野入口～志津駅

上高野入口から志津駅を結ぶ路線は、廃止時期不明です。

八千代台駅

八千代台駅を発着していた系統は、東葉線八千代中央駅開業に伴い、系統が廃止され、2分割で運行されました。

勝田台駅北口

宮ノ台線が運転手不足により廃止され、残存区間は上高野循環線などに統合されました。

車両

東洋バスの車両は、三菱ふそう製が大多数を占めています。かつては富士重工製ボディーを架装した日野自動車製や日産ディーゼル製の車両も存在しましたが、近年はいすゞ自動車製の車両も導入されています。

中型車は前後扉車でしたが、ワンステップバス以降は前中扉車になりました。一部車両は子会社の千葉シーサイドバスに譲渡されましたが、東洋バスに戻ってきた車両もあります。

脚注

外部リンク

* 東洋バス

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