東美鉄道デボ100形電車

東美鉄道デボ100形電車について

概要

東美鉄道デボ100形電車は、1930年に導入された客貨合造の電車であり、その後名古屋鉄道（名鉄）へと継承されました。初めて自社発注された車両であり、デボ101とデボ102の2両が製造され、当初はデボ100形として知られていました。運用終了までの長い歴史を持つこの電車は、名鉄の形式称号が変更されるなど特異な経緯をたどります。

導入経緯

東美鉄道は、旧・名古屋鉄道と大同電力の共同出資により設立されました。特に、伏見口から八百津方面への支線開通に際してデボ100形が導入されました。この車両は東美鉄道における初の自社発注車両であり、1930年に建設された路線で運用されることとなります。デボ101が最初に導入され、続いてデボ102が増備されました。これにより、北川以来の木造車両からの脱却が図られ、半鋼製の車体や2軸ボギー構造が採用されました。

仕様と設計

デボ100形は、車体の主要部分が普通鋼製の半鋼製で、長さは12,630mm、幅は2,405mmです。両端に運転台を持つ構造で、荷物室を兼ねた客貨合造というユニークな設計が特徴です。また、前面には運転台があり、窓配置も工夫されています。車内はロングシート仕様で、照明も設置され、当然ながら運送機関としての機能を果たす作りになっていました。

機器構成

この電車は、直流電動機を利用した直接制御方式で、力行制御及び非常用発電制動機能を備えています。台車には日本車輌製造のD12型台車が装備され、安定した走行を実現していました。集電装置は初期にはトロリーポールが使用されていましたが、後にパンタグラフへと変更されるなど、時代と共に進化していきます。

運用歴

デボ100形は旅客運用のみならず、貨物列車の運行にも用いられました。しかし1943年に名鉄へ吸収合併された際には、モニ300形に形式が変更され、さらなる改造の後にモ300形301・302として活躍しました。特に1952年には荷物室を撤去し客室として改造され、定員も増加します。しかし、対外的な競争力や運用の都合から1960年には電装解除され制御車化が実施されました。

消失と廃車

ク2192は1964年に火災で焼失し、その後ク2191は1973年に除籍されました。これにより、デボ100形としての車両は全て廃車となり、東美鉄道の歴史に幕を閉じました。

結論

デボ100形電車は、東美鉄道と名鉄の両者にとって重要な役割を果たした車両です。多くの仕様変更や改造を経ながらも、その存在は長い間人々の生活に寄与してきました。一時代の象徴とも言えるこの電車は、今もなお鉄道ファンたちの記憶に刻まれています。

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