東美鉄道

東美鉄道の歴史

概要

東美鉄道（とうみてつどう）は、かつて岐阜県可児郡を中心に鉄道を敷設・運営していた事業者である。1926年に設立され、1943年には名古屋鉄道に合併されて歴史の幕を閉じた。東京から出発する多治見駅との接続や、八百津方面への延伸が計画されていた。

前身の東濃鉄道

東美鉄道の前身である東濃鉄道は、1915年に設立された。設立当初から、鉄道免許の取得と建設が進められ、1918年には多治見から広見へと開業した。さらには広見から御嵩へと延びていく路線も計画され、同年8月21日に開通した。この軽便鉄道は、当時の定期馬車よりも速いとされ、地域の重要な交通手段となったが、安定した運営は難しく、経済情勢に影響を受けた。

東美鉄道の設立

1926年、東濃鉄道が国有化され、その一部鉄道路線の運営を受けた新会社、東美鉄道が設立される。共同出資者である名古屋鉄道と大同電力は八百津方面への新たな鉄道建設を視野に入れ、資金援助協定を結んだ。9月には正式に営業権を担当し、広見-御嵩間の運行を開始した。

運営と路線の拡張

東美鉄道は運営開始後、1,067mm軌間への改軌と電化を進めた。1930年までに広見から八百津までの延伸が着実に行われ、名鉄今渡線との接続も実現した。新駅の設置も行い、地域住民の移動利便性を向上させた。

しかし、当初は輸送効率が十分ではなく、バスやトラックの進出により経営が厳しい時期もあったものの、日中戦争を境に亜炭需要が高まり、業績は回復に向かう。これにより配当も復活し、好調な数年間を迎えた。

名鉄との合併

1943年3月、戦時体制の影響で、東美鉄道は名古屋鉄道に合併され、全線が名鉄の東美線となった。合併時には既に新広見駅の建設が進行しており、地域経済と運輸の発展に寄与することとなった。合併後も名鉄の一部として存続し、広見線や八百津線への統合も見られた。

まとめ

東美鉄道は、短い歴史の中で地域に深く根付いた鉄道業者であり、その存在は岐阜県可児郡の発展に寄与した。国有化や合併の波に翻弄されつつも、地域の交通インフラとして重要な役割を果たした足跡が残っている。今後もその歴史や運営の実情に関する研究が進むことが期待される。

もう一度検索