東花園検車区

近畿日本鉄道が大阪府東大阪市に設けている車両基地が、東花園検車区（ひがしはなぞのけんしゃく）です。近鉄奈良線の東花園駅に隣接しており、電報略号は「ヒハ」が使用されています。

施設の規模と役割

この車両基地の敷地面積は約5万6千平方メートルにおよび、最大で154両の車両を収容する能力を持っています。東花園検車区の管轄下には、けいはんな線の車両を管理する東生駒車庫（奈良県生駒市、東生駒駅に近接）と登美ヶ丘車庫（同、学研奈良登美ヶ丘駅に近接）があります。近鉄の奈良線および京都線系統の車両基地としては、他に西大寺検車区が存在しており、両車庫が連携して車両の管理やメンテナンスを行っています。

歴史的経緯

東花園検車区の起源は、かつて大阪府内の近鉄奈良線に存在した車庫に遡ります。元々、河内小阪駅に隣接して小阪車庫が設置されていましたが、この車庫は1950年に八戸ノ里駅の近くへ移転し、八戸ノ里車庫と名称を変えました。その後、1967年に八戸ノ里駅付近の高架化工事が進められたことに伴い、現在の東花園の地に移転することになり、新たに東花園検車区が開設されました。かつて八戸ノ里車庫があった場所は、現在ではマンションなどが建っています。また、最初の小阪車庫の跡地には、近鉄小阪駅前ビルなどが建設されています。

現在の東花園の地に新車庫が設けられた当時、近くには東大阪市花園ラグビー場があり、試合開催時などに利用される臨時駅として「ラグビー場前駅」が存在しました。しかし、車両基地の開設と移転に伴い、この臨時駅は常設化され、現在の東花園駅となりました。

敷地と機能

検車区の用地は、東西に走る近鉄奈良線の線路に対して南北方向に細長く広がっています。そのため、車両を留置する線路も南北方向に敷設されています。この検車区は、奈良線や京都線、けいはんな線で運用される様々な車両の日常的な検査や留置を行う拠点であると同時に、近鉄を代表する特急列車である名阪特急や、観光特急「あをによし」が大阪側で運用を終えた後の折り返しや夜間停泊を行う重要な基地としても機能しています。

配置されている車両

東花園検車区には、特急列車や団体専用の車両と、奈良線・京都線・けいはんな線で使用される通勤・一般車両が配置されています。2019年4月1日時点では、以下のような系列の車両が所属していました。

特急・団体専用車両
12410系（サニーカー）の一部編成
19200系「あをによし」
15200系（新あおぞらⅡ）の一部編成
22000系（ACE）の一部編成（特に4両編成）
一般車両
1230系の一部編成（阪神電車との直通運転に対応した車両も含む）
8000系
8400系（主に4両編成）
8600系（主に4両編成）
8800系
8810系の一部編成
9020系（阪神直通対応仕様、「シリーズ21」の車両）
9200系の一部編成
けいはんな線車両
7000系
* 7020系

過去には、12200系や21000系の特急車両、そして1020系（現在は西大寺検車区に配置）や9000系（現在は名古屋線で運用）といった一般車両もこの地に配置されていた時期がありました。

このように、東花園検車区は近鉄奈良線系統の中核を担う車両基地として、多岐にわたる車両の運用を支えています。

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