東赤谷駅

東赤谷駅

新潟県新発田市東赤谷にかつて存在した、日本国有鉄道（国鉄）赤谷線の終着駅（廃駅）。赤谷線の廃止に伴い、1984年（昭和59年）4月1日にその歴史に幕を下ろしました。国鉄の駅としては極めて珍しく、唯一のスイッチバックによる終着駅として知られています。

歴史

東赤谷駅は、1941年（昭和16年）6月1日に赤谷駅から延伸した際に、運輸営業の開始と同時に開業しました。以来、この路線の終点として機能してきましたが、時代の流れと共に取扱業務は縮小されていきました。まず、1969年（昭和44年）10月1日には、手荷物および小荷物の配達取扱が廃止されます。その後、廃止を控えた1984年（昭和59年）に入ると、同年1月20日に貨物の取扱が廃止され、続いて2月1日には荷物全般の取扱も終了。そして、赤谷線自体の廃止決定に伴い、同年4月1日をもって駅全体が廃止され、その役目を終えました。

駅構造

当駅の最も特徴的な点は、その独特な構造にありました。赤谷方面からの列車は、終着駅でありながらそのまま駅構内に入るのではなく、一度駅の脇を通り過ぎてから、進行方向を変えて引き込み線に入り、再び進行方向を戻すというスイッチバック方式を採用していました。これは、当駅手前に最大33パーミル（‰）という鉄道としては非常に厳しい急勾配が存在していたため、勾配の途中に駅を設けることを避けるための措置でした。旅客が利用するホームは、島式ホーム1面2線を有していました。

また、当駅は地域の鉱業を支える重要な役割も担っており、日鉄鉱業の専用線が駅構内に2本引き込まれていました。これに加え、当駅からはさらに日鉄鉱業赤谷鉱山へ向かうための専用鉄道が分岐していました。この専用鉄道は、開業当初は国鉄と同じ1067 mmの軌間でしたが、1957年（昭和32年）にはより狭い610 mm軌間に敷設し直され、さらに電化も施されるという、産業鉄道ならではの変遷をたどっています。

駅構内の新発田寄りには、イギリス製の古い転車台が設置されていましたが、この転車台は廃止後、大井川鐵道に譲渡され、同社の千頭駅に移設されました。現在もそこで現役として活躍しており、東赤谷駅の記憶を伝える貴重な遺産となっています。

駅周辺

駅前には、かつてこの地域の主要産業であった日鉄関連の社宅が数十棟立ち並び、駅の利用者の多くを占めていました。駅の開業よりも前の昭和初期には、「赤谷温泉ホテル」が営業しており、温泉地としての賑わいも見せていた時期があったようです。周辺には、焼峰山や棚橋山といった山々がそびえていました。

隣の駅

日本国有鉄道 赤谷線：赤谷駅 - 東赤谷駅

日鉄鉱業 赤谷鉱山専用鉄道：東赤谷駅 - 赤谷鉄山駅

東赤谷駅は、その珍しいスイッチバック構造と、地域産業を支えた歴史から、廃止された現在も鉄道ファンの間で語り継がれる存在となっています。

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