東辰三

東 辰三（あずま たつみ）の音楽人生

東辰三（1900年7月3日 - 1950年9月27日）は、昭和期を代表する作詞・作曲家であり、多くの名曲を世に送り出しました。兵庫県に生まれ、本名は山上松蔵です。彼の音楽的才能は、早くから兆しを見せていましたが、商業学校を卒業後、家業の製材所を継ぐ道を選びました。しかし、音楽への思いを諦めることはできず、音楽学校に進学しました。

1925年、東は社会人アマチュアコーラスグループ「東京リーダー・ターフェル・フェライン」に参加し、ここでの活動を通じて多くの経験を積みます。彼の音楽キャリアは、1935年に中野忠晴にスカウトされたことから大きく前進します。以降、コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズにバスとして参加し、「山寺の和尚さん」の2番でソロを取ることで一躍注目を集めました。

1936年、彼はコロムビアレコードから伊藤久男の「別れ」で作詞家としてデビューを果たします。続けて淡谷のり子の「別れのフラ」などを手がけ、名声を不動のものにします。翌年、ビクターレコードに移籍し、1938年には「つわものの歌」や「荒鷲の歌」を作詞作曲し、全国的に広く知られる存在となりました。この時期には、100曲以上を作り出したとされ、その多様性は今なお称賛されています。

戦中にはジャズ音楽が禁止となり、第一次の活動の場であったコロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズが解散に追い込まれます。その後、彼はビクターに入社し、作曲家としての才能が高く評価されることとなりました。戦後の復興期には、ビクターが困難な状況にあったにもかかわらず、彼の作品が業界を支える役割を果たしました。特に「港が見える丘」（平野愛子）や「泪の乾杯」（竹山逸郎）などが大ヒットし、その名声をさらに高めました。加えて、平野愛子の「君待てども」や「白い船のいる港」、竹山逸郎の「泪の乾杯」や「熱き泪を」など、多くのヒット作を残しています。

1950年9月27日、東辰三は脳溢血により50歳でこの世を去りましたが、彼の音楽は今もなお多くの人々に愛され、評価されています。彼の息子である山上路夫も作詞家としての道を歩み、父の音楽的遺伝子を受け継いでいます。東辰三の音楽旅行は、単に彼自身のものであるだけでなく、昭和の日本の音楽史にも深く刻まれています。彼の作品は、時代を超えた魅力を持ち続け、今後も歌い継がれていくことでしょう。

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