東郷村 (鳥取県気高郡)

東郷村の歴史と地域

概要

東郷村（とうごうそん）は鳥取県東部、旧気高郡に属していた村で、1896年3月31日まで高草郡に所属していました。現在の鳥取市本高、北村、西今在家、篠坂、中村、有富、そして高路に相当し、千代川支流の有富川流域に位置しています。村名は、同地域を流れる有富川に由来すると考えられています。かつては「有富保」と呼ばれ、藩政時代には鳥取藩の領地として存在していました。1947年時点での村の人口は1575人、世帯数は275という統計が残っています。

沿革

東郷村の歴史は1881年に始まります。当時、鳥取県が再配置され、古海村（後の海徳村大字古海）に連合戸長役場が設置されます。1889年には町村制が施行され、高草郡本高村、北村、今在家村、篠坂村を統合し、初代東郷村が発足しました。1896年には郡制が施行され、東郷村は気高郡の一部となります。

1917年には福富村との合併によって新たな東郷村が誕生し、合計7つの大字が編成されました。1923年には役場の位置が移動し、1953年には鳥取市に編入され、同時に東郷村は廃止されました。これにより、北村は北村、大字中村は中村に、今在家は西今在家に改名されました。

地域の変遷

1889年から1917年までの間の地域は、本高、北、今在家、篠坂とされていました。1917年から1953年までは、本高、北、今在家、篠坂、中、有富、高路という7つの大字が存在しました。この間に村の経済基盤や住民の生活はさまざまな変化に見舞われました。

経済と産業

東郷村の経済は主に下駄や薪炭、製紙、瓦の産業によって支えられてきましたが、1902年頃には瓦の生産が中止され、大正時代には製紙業も衰退しました。さらに、有富川流域特有の自然環境により、大水害に頻繁に見舞われ、村の産業基盤は弱体化してしまいました。こうした背景により、村全体の財政も厳しい状況にあったのです。

行政と教育

村長は数代にわたり、東郷村の発展に寄与してきました。教育に関しては、東郷村立東郷小学校が設立され、現在は鳥取市立東郷小学校として存続しています。また、中学校区は大正村の大東中学校が担当していましたが、現在は鳥取市立高草中学校に組み込まれています。

交通の発展

東郷村と鳥取市を結ぶ交通手段は、明治30年頃までは主に水路が利用されていました。今在家から千代川を経由し、舟での輸送が行われていたことが記録されています。明治中頃になると、村内に幹線道路が開発され、後に県道へと昇格しました。1927年には村自ら道路の改修工事を行い、1933年にはこの工事が完成しました。

まとめ

東郷村は、鳥取県の歴史の中で重要な役割を果たしてきた地域ですが、その後の産業衰退や自然災害によって困窮しました。村の財政や生活環境の変化、教育制度の発展など、さまざまな要素が村の歴史に影響を与えました。現在もその痕跡を辿ることができるこの地域は、歴史的な研究と記憶の保存にとって重要な場所といえるでしょう。

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