東野交通株式会社:栃木県を支えたバス事業の終焉
東野交通株式
会社は、かつて
栃木県宇都宮市に本社を置き、
宇都宮市、
真岡市、大田原市など県東部・北部を中心にバス事業や
索道事業を行っていた
企業です。一時は
東武グループに属していましたが、
2018年に関東自動車株式
会社と経営統合し、その歴史に幕を閉じました。
概要
1968年までは
東野鉄道という社名で鉄道事業も行っていました。バス事業への参入は
1928年。他社の
路線バス運行が鉄道事業の収支に影響を与え始めたことがきっかけでした。競合
会社の営業権を買収し、鉄道区間と同じ西那須野 - 大田原 - 黒羽間のバス営業権を独占。鉄道廃止直前には、西那須野 - 大田原間で40往復、西那須野 - 黒羽間で21往復のバスを運行しており、鉄道廃止後も沿線住民の利便性が損なわれないように配慮されていました。
東武グループに属していましたが、
東武バスグループや
朝日自動車グループには属さず、独自のCIロゴを使用するなど、独立色が強い
企業でした。
2016年には東武鉄道保有分の株式がみちのりホールディングスに譲渡され、
東武グループから離脱しました。
宇都宮
東武百貨店が入る宇都宮東武ビルは、
東野鉄道自動車駅を一体化する建物として建設された経緯があるため、
東武グループ離脱後も同ビル内の宇都宮
東武バスターミナルを起点としていました。CIロゴは
えんじ色で「New 108」と表記されていました。創立100周年を機に新ロゴが制定されましたが、車両屋根上は「New 108」のままでした。関連
会社には
自動車整備業を行う東野整備などがありました。
2018年に関東自動車と経営統合し、関東自動車に吸収合併され、東野交通は
解散しました。経営統合後の営業所及び車庫は基本的に「東野」を冠しています。
沿革
東野交通の歴史は、
1916年の
東野鉄道株式
会社発足に遡ります。
1928年には乗合自動車の営業を開始し、
1934年までに西那須野駅 - 大田原 - 黒羽間の営業権を独占しました。
戦時統合を経て、
1950年代には宇都宮 - 大田原線や茂木 - 真岡線など、路線の拡充が進められました。
1960年代には
東武宇都宮百貨店の開店に伴いバスターミナルを設置し、本社を同百貨店に移転。
1968年には鉄道線を廃止し、社名を東野交通株式
会社に変更しました。
1970年代以降は、路線の廃止や営業所の統合など、合理化が進められました。
1980年代には貸しビル事業や旅行代理店事業に進出し、経営の多角化を図りました。
1990年代には東武鉄道の撤退に伴い、一部路線を継承。
2000年代には高速バス事業を開始し、共通バスカードを導入しました。
2016年には
東武グループを離脱し、みちのりホールディングス傘下に入りました。
2018年、関東自動車との経営統合により、東野交通はその歴史に幕を閉じました。
路線
一般乗合バスの運行エリアは、
宇都宮市街を中心に、
宇都宮市内の東部地区、県東部の真岡および益子方面、
宇都宮市東北部の岡本、氏家方面。また、氏家から喜連川や馬頭方面、さらに西那須野駅から大田原市東部方面、那須塩原駅および黒磯駅から
那須ロープウェイ方面、黒田原駅から伊王野方面に路線を持っていました。かつては県境を越えて
福島県や
茨城県にも路線がありましたが、経営統合前はすべて
栃木県内で完結していました。
車両
東武グループ系では珍しく、
三菱ふそうトラック・バスの車輌保有比率が高かったのが特徴です。近年は、
東武グループからの小型車両の移籍が目立っていました。カラーリングは長年白色に赤帯でしたが、
2001年導入車より
東武グループ貸切標準色を、
2003年からは
東武グループ貸切標準色をベースにグラデーション部分がオレンジ一色となった東野グループ独自色が登場しました。
ご当地ナンバーで那須ナンバーが設定されてからは黒磯営業所と本社営業所の高速バス用車両は社名の語呂合わせである希望ナンバー108で登録されています。一部の高速バス用車両には
那須ロープウェイのラッピング装飾が施されていました。
那須ロープウェイは、東野交通が運営する
索道事業でした。詳細は
那須ロープウェイの項目を参照ください。
東野交通グループ
東野交通は、以下の
企業を傘下に持つ
企業グループでした。
東野観光(旅行代理店、貸切バス):東野交通時代に吸収合併
那須交通 (貸切バス等):関東自動車関連
会社として存続
やしお観光バス (貸切バス等):関東自動車関連会社として存続
東野整備(自動車整備事業):関東自動車子
会社の関東自動車整備に吸収合併され
解散
まとめ
東野交通は、
栃木県の地域公共交通を支えた重要な
企業でした。鉄道事業からバス事業への転換、
東武グループとの関係、そして関東自動車との経営統合。その歴史は、
栃木県の交通史を語る上で欠かせない一部分です。