松尾川ダム

松尾川ダムの概要

松尾川ダム（まつおがわダム）は、徳島県三好市に位置する吉野川水系のダムです。このダムは、春ノ木尾ダム（はるのきおダム）とも呼ばれ、高さは67メートルの重力式コンクリートダムです。四国電力が管理し、発電用に使用されています。ダムからは、松尾川第一発電所及び松尾川第二発電所へ水が送られ、これにより最大で42,200キロワットの電力を生成することができます。

ダムの歴史

松尾川ダムの歴史は、戦後の日本の電力事情に深く関わっています。1951年に四国電力が設立された際には、電力不足が大きな問題でした。この状況を改善するために、同社は水力発電の開発に注力しました。特に松尾川ダムとその周辺の発電所は、設立から初めての大規模な開発プロジェクトとなりました。

工事は1951年12月27日に開始され、1953年10月には松尾川第一および第二発電所が運転を開始しました。建設においては、補償問題が重要であり、漁業関連や公共事業に関する問題が1952年から1953年にかけて解決されました。

松尾川第一と第二の発電所には、それぞれ約20,000キロワットの出力を持つペルトン水車発電機が配置されており、これらは当時の日本では大口の水車発電機として特筆されます。また、AFC（自動周波数調整装置）が初めて導入され、電力系統の周波数を安定させるために重要な役割を果たしました。これによって、発電所の出力を自動的に調整することができ、工場の生産に影響を及ぼさないようにしました。

施設周辺の環境

松尾川ダムへアクセスするには、JR土讃線・祖谷口駅付近から国道32号を経由し、徳島県道32号山城東祖谷山線へ進み、さらに徳島県道140号大利辻線を上流に進むことで到達できます。ダムには松尾川の水だけでなく、その支流からも水が供給されており、さらに1961年には祖谷川の上流に名頃ダムが完成し、ここからも水がダムへ流れ込む仕組みが整えられています。

ダム湖にはコイやマス、フナなどの魚が住んでおり、生態系も豊かです。ダムに貯水された水は右岸の取水口から引き入れられ、トンネルを通じて松尾川第一発電所へ送られ、ここで最大2万800キロワットの電力が発生します。発電に使用した水は次に松尾川第二発電所に流れ込み、さらに最大2万1,400キロワットの電力を生み出します。最後に放流された水は吉野川へと流れていきます。

放水口の周辺は美濃田の淵と呼ばれる名勝であり、観光名所としても知られています。また、上流には水資源機構が運営する池田ダムという多目的ダムも存在し、こちらでも発電が行われています。

まとめ

松尾川ダムは、徳島県の地域に重要な電力供給を行うとともに、周辺の自然環境にも寄与しています。日本の電力事情の変遷を見守りながら、生産力向上のために日々運営されています。

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