松平信政

松平信政：高貴な血筋を受け継ぐ旗本の生涯

松平信政（まつだいら のぶまさ）は、寛文元年（1661年）に生まれ、元禄4年（1692年）に30歳という若さで亡くなった江戸時代前期の旗本です。彼の特筆すべき点は、その家系にあります。父は鷹司松平家初代の松平信平、母は紀州藩主・徳川頼宣の娘である松姫であり、徳川家康を曽祖父に、関白鷹司信房を祖父に持つという、極めて高貴な血筋を受け継いでいました。

将軍家との繋がり

さらに、徳川3代将軍・家光とは従兄弟違い、その御台所・鷹司孝子は叔母、そして8代将軍・徳川吉宗とは従兄弟という間柄でした。五摂家、徳川将軍家、御三家といった、当時最高の格式を誇る家々の血筋を一身に受け継いでいたのです。

寛文12年（1672年）に将軍・徳川家綱に拝謁し、延宝4年（1677年）には従四位下・侍従に叙任され、近江守を名乗るという異例の出世を果たします。後に左兵衛督に改めます。これは、高家でもない一介の旗本としては異例のことであり、彼の家柄の高さと、周囲からの期待の大きさを物語っています。

遺領相続と信任

元禄2年（1690年）には、父の死により7000石の遺領を相続。さらに、将軍・徳川綱吉の御台所であり、鷹司家出身の鷹司信子（信政の従姪にあたる）から厚い信任を受けました。しかし、父の死からわずか2年後、後を追うように病死。その短い生涯を閉じました。戒名は温恭院殿従四位拾遺法嵓純真大居士。

死後

家督は長男の信清が相続し、彼の血筋は後世へと受け継がれていきます。松平信政は、その高貴な血筋と、将軍家との繋がりによって、旗本でありながら国主並みの官位官職に叙せられた、特異な存在だったと言えるでしょう。

関連事項

* 弘行寺

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