松平信璋

松平信璋について

松平信璋（まつだいら のぶあき）は、江戸時代後期の武士で、三河吉田藩の第6代藩主です。大河内松平家という家系の10代目にあたります。

生涯

文政10年（1827年）に旗本松平信敏の嫡男として江戸に生まれました。天保15年（1844年）に、吉田藩の先代藩主である松平信宝の婿養子となり、その跡を継ぎます。信宝は信璋が養子に入る直前に亡くなっていたため、急な藩主交代となりました。信璋は家督を継ぐと同時に、名を改めました。

弘化元年（1844年）には、遺領7万石を相続し、吉田藩主となります。弘化3年（1846年）には、従五位下・伊豆守に叙任されました。

当時の吉田藩は、約29万8千両という巨額の借金を抱えており、財政は非常に厳しい状況でした。そのため、信璋は自ら財政改革に乗り出します。嘉永元年（1848年）には、藩士への米の支給を再度厳しくし、さらに城内に御用達を集めて献金を求めました。また、城下の町役人や領内の村役人にも協力を要請するなど、精力的に改革を進めました。

しかし、嘉永2年（1849年）に信璋は志半ばで急逝します。享年は23歳という若さでした。公式には9月24日に死去したと発表されましたが、実際には7月27日に亡くなったとされています。

信璋には実子がいなかったため、越前鯖江藩主間部詮勝の次男である理三郎（後の松平信古）を、妻である貞姫（後に房姫と改名）の婿養子として迎えました。

藩内の対立

信璋は分家から初めて養子として藩主になった人物だったため、藩士の一部からは軽視される傾向がありました。特に実父である松平信敏は「兵てき」と呼ばれ、批判の対象になったと言われています。これは、財政改革を進める信璋とその側近たちに対して、不満を持つ藩士が多かったためと考えられています。

嘉永2年には、信璋に帰国の許可が下りましたが、その帰国が延期されるという出来事がありました。この際、信璋が江戸の重臣たちによって藩邸に閉じ込められているという噂が立つなど、家中は深刻な対立状態に陥っていたようです。

系譜

実父：松平信敏
実母：妙相院（土岐朝旨の娘）
養父：松平信宝
正室：貞（松平信宝の養女、松平信順の娘）
養子：
大河内信古（間部詮勝の次男）
* 大河内房子（大河内信古室、松平信順の娘）

松平信璋は、若くして藩主となり、財政改革に尽力しましたが、その改革は志半ばで終わりました。藩内の対立にも苦しみながらも、藩のために尽くした人物として、その名は歴史に刻まれています。

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