松平家広

松平家広

松平家広（まつだいら いえひろ）は、安土桃山時代に活躍した武将であり、桜井松平家の6代目当主として知られています。

生涯

天正5年（1577年）、4代当主・松平忠正の子として誕生しました。母は徳川家康の異父妹（久松俊勝の娘）である多劫姫です。家広は、生まれた年に父・忠正が死去するという不幸に見舞われました。そのため、叔父にあたる忠吉が家督を継ぎ、多劫姫を妻として迎えました。忠吉と多劫姫の間には、家広にとって異父弟にあたる松平信吉・松平忠頼の兄弟が生まれています。

天正10年（1582年）6月24日、忠吉も24歳という若さで亡くなりました。これにより、家広はわずか5歳で家督を継ぐこととなりましたが、幼少であったため、叔父にあたる松平忠広が後見を務めました。この年、甲斐への出兵（天正壬午の乱）には忠広が従軍しています。なお、忠広は後に「ゆえありて遁世」したと伝えられています。

天正11年（1583年）7月3日、家臣の堀重純（小三郎）に家康の御朱印状が出され、桜井松平家の家政を執行することとなりました。天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは酒井忠次の軍勢に加わり、家広の配下の兵士たちは敵兵を多く討ち取るという功績を挙げました。

天正18年（1590年）、徳川家康の関東入封に伴い、家広は武蔵国松山城を与えられ、1万石を領しました。これにより、武蔵松山藩が成立しました。天正19年（1591年）の九戸政実の乱には出陣し、中新田城（現在の宮城県加美町）の城番を務めました。

慶長6年（1601年）6月14日、家広は25歳という若さで死去しました。『寛永諸家系図伝』や『寛政重修諸家譜』編纂時の呈譜では、家広は病によって異父弟の忠頼に家督を譲ったとされています。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いには忠頼が従軍しています。『寛政譜』が記載する「或説」によれば、家広は「ゆえありて」家康の勘気を蒙ったために慶長6年（1601年）6月14日に自害し、後継者がいなかったために家が絶えたとされています（忠頼が絶家した家広の所領を賜ったとされています）。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第五
『寛政重修諸家譜 第一輯』（国民図書、1922年）
『新訂寛政重修諸家譜 第一』（続群書類従刊行会、1964年）

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『松平家広』 - コトバンク

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