松平忠正

松平忠正：波乱に満ちた生涯を送った戦国武将

松平忠正（まつだいら ただまさ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、桜井松平家の4代目当主として知られています。彼は三河国碧海郡桜井城（現在の愛知県安城市桜井町）を拠点とし、激動の時代を生き抜きました。

生涯

忠正は、3代目当主・松平家次の子として生まれました。桜井松平家は、忠正の祖父である信定の代から安祥松平家と対立関係にありました。そのため、忠正も当初は三河一向一揆に加担し、松平家康（徳川家康）と敵対しました。しかし、一揆が鎮圧されると、忠正は家康に降伏し、その家臣として仕えることになります。

永禄11年（1568年）、忠正は遠江国掛川城の攻略戦に従軍し、武功を挙げました。元亀元年（1570年）には、姉川の戦いにも参加し、奮戦しました。

元亀4年（1573年）1月、野田城の戦いが勃発すると、忠正は野田城主・菅沼定盈と共に籠城しました。しかし、武田軍によって水源を断たれたため、城は落城寸前となりました。定盈と忠正は、兵卒の助命を条件に武田信玄に降伏し、捕虜となりました。その後、忠正は徳川方の人質と交換され、菅沼定盈と共に徳川家に帰参しました。

天正3年（1575年）の長篠の合戦では、忠正は武田の軍兵を討ち取るという功績を挙げ、織田信長から感状を授与されました。

天正5年（1577年）閏7月20日、忠正は34歳という若さでこの世を去りました。跡継ぎである亀千代（後の松平家広）が幼少であったため、弟の松平忠吉が家督を継承しました。しかし、忠吉も天正10年（1582年）に若くして亡くなったため、家広を弟の松平忠広が後見することになりました。

系譜

父：松平家次
母：不詳
室：多劫姫 - 久松俊勝の娘（徳川家康の異父妹）
男子：松平家広

忠正の死後、妻である多劫姫は忠正の弟である松平忠吉に再嫁し、松平信吉・松平忠頼の兄弟を儲けました。忠吉の死後は保科正直に再嫁しています。

松平忠正は、戦国時代の激しい波に翻弄されながらも、武将として忠義を尽くし、その短い生涯を駆け抜けました。彼の足跡は、桜井松平家の歴史に深く刻まれています。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第五
『寛政重修諸家譜 第一輯』（国民図書、1922年）
『新訂寛政重修諸家譜 第一』（続群書類従刊行会、1964年）

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『松平忠正』 - コトバンク

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