松平清宗

松平清宗

松平清宗（まつだいら きよむね）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、徳川氏の家臣として活躍しました。竹谷松平家の5代当主であり、通称は與次郎、玄蕃允と称しました。父は松平清善です。

生涯

清宗は徳川家康に仕え、永禄5年（1562年）には、今川氏から離反した家康に同調し、上ノ郷城攻略戦に参戦したとされています。しかし、父・清善の事績に隠れて、この時点では目立った働きは見られませんでした。永禄6年（1563年）の三河一向一揆鎮圧戦において、その武功が認められ、ようやく日の目を見るようになります。上ノ郷城攻略戦以降に家督を譲られたと考えられています。

永禄7年（1564年）には、家康による三河東部の拠点である吉田城攻略戦に参戦。龍拈寺口での戦闘では2ヶ所に負傷しながらも、首級5つを挙げるという武勇を示しました。

永禄11年（1568年）12月には、家康の遠江国侵攻に参陣。当時の三河軍団の編成では、西の中核である岡崎城に対し、東の中核が吉田城であり、城代・酒井忠次の指示を受ける東三河衆の中に竹谷松平家も組み込まれていました。そのため、遠江征服戦において、家康の本隊が浜名湖東岸の曳馬城奪取を第一目標としたのに対し、酒井忠次率いる東三河衆は浜名湖西岸の早期制圧を第一目標としていました。

元亀元年（1570年）6月29日、姉川の戦いに参戦。

天正3年（1575年）5月21日、長篠の戦いには酒井忠次の奇襲隊として参戦しました。天正10年（1582年）に家康が駿河国を併呑した後には、興国寺城に2,000貫で配され、与力50人も付けられました。ただし、小牧・長久手の戦いには嫡子・家清ともども参戦せず、興国寺城に留まって相模国の後北条氏に備えていました。

天正18年（1590年）の小田原征伐にも参陣。この時の徳川勢の陣立てでは、家康本陣の前に「全備」、その前に「二の先手」、さらに前が「一の先手」という配置でした。清宗の竹谷（もしくは興国寺）衆は「二の先手」7組の中に組み込まれ、7組の最左翼を務めました。

天正19年（1591年）、小田原征伐の戦勝に伴う徳川家の関東への国替えにより、清宗は武蔵国児玉郡八幡山1万石の領主となりました（厳密には八幡山藩の藩政を嫡男である家清の代わりに行っていた）。居城は雉岡城といわれ、8～9月頃に入封したと推測されています。入封後の施策としては、「本年中に領内へ転住してきた住民へは、来年の諸税免除」を約束し、領民の増加を図りました。また、嫡子・家清への家督禅譲は、この八幡山領有時、入封後間もなくして行われたといわれています。

関ヶ原の戦い後は家清の転封先である三河吉田城で余生を送り、慶長10年（1605年）に死去しました。一説には68歳であったと伝えられています。戒名は龍興院華翁全栄。吉田城下には菩提寺・全栄寺が創建され、そこに葬られました（現在は天桂院に墓碑があります）。

清宗には家清の他に、清定という子もいました。嫡子・家清、孫の忠清に家康父子の偏諱を許されているのは、清宗が家康を積極的に支持し、数々の武勲を挙げてきたことによるものと考えられています。

参考文献

* 菊地浩之 (2020). 『徳川家臣団の系図』. 角川新書

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