松平義居

松平義居（まつだいら よしすえ）

松平義居は、江戸時代後期に美濃国高須藩の第8代藩主を務めた人物です。彼は、第11代将軍・徳川家斉の弟という特別な血筋を持っていました。その官位は従四位下・侍従、摂津守、左近衛少将にまで至ります。

生涯

松平義居は、一橋徳川家の当主である徳川治済の七男として誕生しました。彼の人生は、実父・治済の思惑と、当時の幕府の政治的な動きに大きく左右されることになります。

寛政7年（1795年）7月、清水徳川家の当主・徳川重好が死去した際、治済は義居を清水家の後継者として送り込むことを画策します。しかし、この動きは幕閣の松平信明らによって強く反対され、実現には至りませんでした。治済は義居を、なるべく江戸に近い大名家の養子に出したいという意向を持っていました。

翌寛政8年（1796年）3月1日、義居は高須藩主・松平義当の養子となることが決定します。寛政11年（1799年）9月15日には、将軍・徳川家斉に御目見えを許されます。同年12月18日には、従四位下・侍従・摂津守に叙任され、その地位を確立しました。享和元年（1801年）9月27日、養父である義当が死去したため、家督を相続し、高須藩主となります。同年12月16日には、左少将に任ぜられ、その官位はさらに上がりました。

しかし、松平義居の人生は長くは続きませんでした。文化元年（1804年）10月16日、わずか20歳という若さでこの世を去ります。後継者となるべき実子は無く、急遽、徳川治保の次男である松平義和を養子に迎え、家督を継がせることとなりました。

人物

松平義居は、将軍の弟でありながら、自らの意思とは異なる運命を歩んだ人物と言えるでしょう。実父の思惑、幕府の意向、そして高須藩の跡継ぎという立場の中で、短い生涯を駆け抜けた人物です。

系譜

父母

徳川治済（実父）：一橋徳川家当主
丸山氏 ー 側室（実母）
松平義当（養父）：高須藩主

正室

薫：松平義当養女、松平義裕の娘

養子

* 松平義和：徳川治保の次男


松平義居の生涯は、江戸時代後期の複雑な政治情勢と、大名家の後継者問題が絡み合った結果であり、歴史を考察する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

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