松平義裕

松平義裕は、江戸時代中期に美濃国高須藩の第6代藩主を務めた人物です。父は第4代藩主・松平義敏、母は松平頼寛の娘である幾です。官位は従四位下・左近衛少将、摂津守。その生涯は、藩主としての責務と、短いながらも藩政に尽力した日々でした。

義裕が藩主となった背景には、兄である義柄（徳川治行）が尾張徳川家の徳川宗睦の養子となったことがあります。安永6年（1777年）1月25日、義柄の養子入りに伴い、義裕が藩主の座を引き継ぎました。同年3月1日には、第10代将軍・徳川家治に拝謁し、12月18日には従五位下・摂津守に叙任、直後に従四位下・侍従に昇進しました。

藩主として義裕は、藩政の立て直しに尽力しました。安永7年（1778年）11月3日には、藩の陣屋を駒野から高須に戻す許可を得ています。これは、藩の中心機能を高須に戻すことで、藩政の効率化を図る狙いがあったと考えられます。また、安永8年（1779年）12月16日には左少将に任官し、その地位を確固たるものとしました。

しかし、義裕の治世は長くは続きませんでした。寛政7年（1795年）9月22日、34歳という若さでこの世を去りました。後を継いだのは、養嗣子の松平義当です。義当は、尾張藩主徳川宗勝の五男で、義裕の跡を継ぎ、高須藩の藩政を担いました。

義裕の系譜を見ると、正室は徳川宗翰の長女である時姫、側室は筒井氏出身の栄教院です。子女としては、側室・栄教院を母とする薫がおり、後に松平義当の養女となり、松平義居の正室となっています。

松平義裕は、若くして藩主となり、短い期間ではありましたが、藩政に尽力しました。その功績は、藩主としての責務を全うし、藩の発展に寄与したことでしょう。彼の生涯は、高須藩の歴史において、重要な一幕として語り継がれています。


系譜

父：松平義敏
母：幾（松平頼寛の娘）
正室：時姫（徳川宗翰の長女）
側室：栄教院（筒井氏）
子女：薫（松平義当養女、松平義居正室、生母は栄教院）
養子：松平義当（徳川宗勝の五男）

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