松平義敏

松平義敏（まつだいら よしとし）は、江戸時代中期の美濃国高須藩の第4代藩主です。官位は従四位下・左近衛少将、中務大輔を授けられました。

生涯

義敏は、高須藩の第3代藩主であった松平義淳（後の尾張藩主・徳川宗勝）の三男として誕生しました。元文4年（1739年）2月3日、父である義淳が尾張藩を相続したことにより、義敏は高須松平家の家督を継承しました。この時、彼はまだ幼少であったため、藩政は家臣たちによって支えられていたと考えられます。

延享8年（1751年）8月15日、義敏は8代将軍・徳川吉宗に拝謁し、その存在を幕府に示しました。同年12月18日には、従五位下・中務大輔に叙任され、直ちに昇進して従四位下・左少将となりました。これは、彼の家柄と幕府からの信頼を示すものであり、藩主としての権威を高める上で重要な出来事でした。

宝暦7年（1757年）には、高須藩領内で大規模な洪水が発生し、深刻な減収に見舞われました。この災害に対し、幕府は義敏の藩に対して3000両の支援金を下賜しました。これは、藩財政の窮状を救うための措置であり、幕府と藩との連携を示すものでもあります。

明和2年（1765年）7月24日、義敏は高須から駒野への陣屋移転の許可を得ました。この移転は、藩の運営や防衛戦略に大きな影響を与えたと考えられます。陣屋の移転は、藩の財政や民衆の生活にも変化をもたらしたことでしょう。

明和8年（1771年）、義敏は38歳で死去しました。跡は長男の義柄（後の徳川治行）が継ぎました。義敏の短い生涯は、藩主としての責任と苦労を物語っています。

系譜

父母
父：徳川宗勝
母：お登世の方（清光院）、馬場氏（側室）

正室
幾：松平頼寛の娘

子女
長男：徳川治行（生母は幾）
次男：松平義裕（生母は幾）
長女：純姫（徳川宗睦養女、上杉治広正室、生母は幾）
三男：松平裕民

松平義敏は、激動の時代に藩主としてその責務を果たしました。彼の治世は、天災や幕府との関係など、多くの困難に直面しましたが、その中で藩の維持と発展に尽力しました。彼の生涯は、江戸時代の大名としての苦労と、その中で見せた力強さを今に伝えています。また、彼の子孫たちは、それぞれの人生を歩み、歴史の中に名を刻みました。

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