松本英一

松本英一の生涯と業績

松本英一（まつもと えいいち、1895年5月11日 - 1945年8月13日）は、日本の映画界で活躍した監督である。主にサイレント映画の時代に活動し、多数の作品を残した。しかし、彼は他の多くの映画監督と同様にその業績が忘れられがちである。今回は彼の生涯や、その仕事に焦点を当ててみたい。

早年期とキャリアの始まり

松本英一は東京市本所区で誕生した。家族には映画俳優の里見明がいるなど、芸能一家だったことが窺える。小学を卒業後、彼は鉄道院上野駅で働く傍ら、早稲田大学に入学する。しかし、演劇の魅力に取り憑かれ、次第に親からの仕送りを断たれてしまう。彼のキャリアの初期は、演劇に専念するための努力が続いた。

当時の仲間には後の映画女優花柳はるみや映画監督小沢得二がいた。松本は同劇団と共に朝鮮半島や満州国、台湾を巡業し、様々な舞台経験を積む。その後、台湾で高松豊次郎が経営する劇場にて半年間事務員としての仕事をしたが、こちらも演劇に打ち込むために劇団を離脱。帰国後は、浅草で舞台活動を続けた。

映画監督としての台頭

1921年に国活に参画し、映画監督としての第一歩を踏み出した。彼の監督作『曙音頭』は、その後のキャリアに大きな影響を与えた。不遇の時代を経て、1923年には帝国キネマ演芸に入社。この時に監督した作品『親なき雀』は、主に自らの才能の開花を示すものであった。彼の弟もそのキャストの一員として参加するなど、家族との関わりも濃かった。

松本は監督としての力量を磨く中で、アシヤ映画製作所の設立にも参加する。しかし、内紛が発生したことで一時的な退社を余儀なくされるも、すぐに復帰。その後も合計で85本の映画を監督した。

河合プロダクションとその後

1927年末には、河合徳三郎が創設した河合プロダクションに参加し、そこでの第一作『青春散歩』や第二作『恋風に吹かれて』が公開される。松本は常に新たな俳優やスタッフとともに新しい作品を生み出し続けたが、結局、同年内に河合映画会社を退社し、再び帝キネに戻る。彼は35歳の頃を境に多くの映画を手がけるが、1931年には再度退社し、自身の道を模索することとなった。

逝去

彼の人生は1945年8月13日に幕を閉じる。第二次世界大戦終結前のわずか2日前に満50歳でこの世を去った。松本英一が残した多くの作品は、彼の才能と努力の賜物であり、サイレント映画の時代における貴重な資料となっている。彼の製作した作品は、今なお日本映画の歴史にその名を刻んでいる。

関連事項

松本の活動は、根岸興行部や帝国キネマ、アシヤ映画製作所、河合映画製作社などさまざまな団体と関わっていた。彼の個々の作品は、当時の社会や文化背景を映し出す重要なフィルムとしても評価されている。

まとめ

松本英一の映画監督としてのキャリアは、決して平坦ではなかったが、彼の独自の視点と熱意は、サイレント映画という特殊な時代において多くのファンを生み出すことに成功した。このような個性的な監督たちの存在が、日本映画の多様性を支え続けていることを忘れてはならない。

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