松本飛行場

松本飛行場の歴史と背景

松本飛行場は、長野県松本市に位置していた日本陸軍の飛行場で、かつては重要な軍事拠点として機能していました。この飛行場は、1942年に陸軍の建設計画が策定された後、1943年から本格的な建設が行われました。広大な土地面積約200ヘクタールに及び、総勢10万人以上の労働者が動員されました。その中には、学生や朝鮮人も含まれており、当時の厳しい労働条件があったことが伝えられています。興味深いことに、映画監督として知られる熊井啓も当時、学生としてその建設作業に参加していたとされ、彼は自身の著作にその体験を記しています。

この飛行場は1945年の春に運用を開始しましたが、そのわずか数か月後に終戦を迎えました。終戦後、松本飛行場は閉鎖され、残存していた航空機は焼却処分され、土地は地元の住民に払い下げられました。一方、空襲の影響により、三菱重工業名古屋航空機製作所がこの地に疎開を行い、1945年に新たに製作所が設立されました。当飛行場には、海軍の戦闘機「烈風」の開発や試験が行われる予定でしたが、急速に進展する戦局によりその計画も実現することはありませんでした。

飛行場の施設

松本飛行場の施設は、各種軍事活動を行うために整備されていました。滑走路はコンクリート舗装され、全体の規模は約1300メートル四方の正方形で形作られていました。飛行場の備えとしては、複数の格納庫、防火水槽、兵舎、食堂、そして労働者用のバラックなどが含まれています。これらの棟は、陸軍540部隊などに所属する部隊の資料によれば、100機を超える航空機が配備されており、主に零戦や飛龍、訓練機の赤とんぼなどが含まれていました。

現在の松本市との関係

現在、松本市立菅野小学校は元々松本飛行場の滑走路付近に跡を残しており、その校庭の基礎に飛行場のコンクリート製基礎が利用されています。このように、松本飛行場は地域の歴史に深く根ざしており、地元の人々にその存在を今に伝えています。

松本飛行場の存在は、日本の空軍の歴史において重要な役割を果たしただけでなく、戦争の影響を受けた人々の思い出や経験が色濃く残されている場所でもあります。今後の研究や保存活動を通じて、さらなる詳細が明らかにされることでしょう。

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