松浦熈

松浦熈（まつら ひろむ）

松浦熈は、江戸時代後期に肥前国平戸藩の第10代藩主を務めた人物です。従五位下・肥前守の官位を有していました。

生涯

寛政7年（1795年）、第9代藩主・松浦清の三男として平戸に生まれました。幼名は三穂松。長兄の廃嫡と次兄の死去により、父・清の嫡子となりました。幕府には年齢を8歳と届け出ています。

享和3年（1803年）に11代将軍徳川家斉に御目見し、同年、従五位下・肥前守に叙任されました。天保5年（1834年）には、若年寄・永井尚佐との官名重複を避けるため、肥前守の改名を幕府に願い出ましたが、認められませんでした。

文化3年（1806年）に父・清の隠居により家督を相続。文化5年（1808年）には松平定信の娘と結婚しました。天保12年（1841年）に隠居し、家督を長男の曜に譲りました。隠居後は、父・清の意向により平戸で過ごし、曜とその跡を継いだ詮（三男・秋の子）の後見を務めました。慶応3年（1867年）、77歳で死去。

業績

嘉永7年（1854年）、異国船来航の報を受けた際、隠居の身でありながら、領内の寺社に敵国降伏の祈祷を依頼しました。以降、異国船の侵入や争乱時には隠居がその執行役を担うこととなりました。富士山への代参や小富士の築造などを通して、異国船との戦闘回避に努めました。

藩の財政が逼迫する中、自身の隠居料を半額に減らし、軍用金の納入を制度化するなど、財政面から藩を支援しました。また、大砲の鋳造や砲術の導入を支援するなど、藩の海防策を後押ししました。

能楽にも造詣が深く、独自の謡曲「平戸三興囃子」を創始。隠居後には古謡をもとに、護国の願いを込めた神能「平壺」を完成させました。著作として随筆『亀岡随筆』があります。

系譜

父：松浦清
母：外山松子
正室：蓁 - 松平定信の娘
側室：中村氏、政野氏
子女：
長男：松浦曜
次男：松浦啓
三男：松浦秋
四男：熊沢正観
五男：松浦欽明
女子：日野資宗室
女子：富子 - 中山忠光室

関連項目

生月鯨太左衛門
平戸八景

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