松澤昭

松澤昭（まつざわ あきら）は、1925年3月6日に東京府滝野川町（現在の東京都北区）で生まれ、2010年8月13日に85歳で亡くなった俳人です。父は「雲母」同人の松澤鍬江で、少年時代から萩原朔太郎や三好達治に憧れて詩作を試みていました。10代の頃には、松澤家の常連客であった松村蒼石らを通じて俳句に興味を持ち始めました。

1944年、学徒動員中に俳句を作り始め、1946年に法政大学経済学部を卒業。この年、俳人・飯田蛇笏に師事しました。1953年には父も所属していた俳句結社「雲母」の同人となり、1956年からは現代俳句協会の会員となりました。

1961年には、石原八束、文挾夫佐恵、柴田白葉女らと共に俳句結社「秋」を創刊し、主宰を務めました。しかし、1962年に「秋」の主宰を辞任。1964年には新たに俳句結社「四季」を創刊し、自ら主宰となりました。2000年には現代俳句協会の会長に就任し、2006年には同協会の特別顧問となりました。2008年には、第8回現代俳句大賞を受賞しています。

松澤昭の俳句の特徴は、有季定型を守りながらも、写生を超えて心象風景を描き出す「心象造型」を提唱したことにあります。彼の代表句の一つに「凩や馬現れて海の上」があり、その独特な世界観が表れています。

著書には、句集として『神立（かむだつ）』『安曇』『父ら』『山處（さんしょ）』『宅居（たっきょ）』『麓入（ろくにゅう）』『面白（めんぱく）』『乘越（のっこし）』『飛（ひ）』『麓（れい）』『寥』『松澤昭全句集』、評論・随筆として『現代秀句の鑑賞』『現代秀句の評釈』『俳句を思う』『俳風自在』などがあります。

松澤昭は、伝統的な俳句の形式を踏襲しつつも、独自の感性と表現で現代俳句の発展に貢献した俳人として、その功績は高く評価されています。

参考資料として、現代俳句大事典（三省堂、2005年）や現代俳句協会のウェブサイトがあります。また、外部リンクとして松澤昭の俳句を閲覧することもできます。

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