板井原集落

板井原集落について

板井原集落（いたいばらしゅうらく）は、鳥取県八頭郡智頭町に位置する、歴史ある山村です。この地域は、県に選定された伝統的建造物群保存地区に指定されており、文化的な価値が高いとされています。周囲には牛臥山や海上山などの美しい山々が広がっており、自然の中に溶け込むように集落が形成されています。また、ここには平家の落人が隠れ住んでいたという伝説も残っており、歴史的な興味を引きつける要素が数多くあります。

地理的概要

板井原集落は、千代川水系の板井原川（赤波川）の谷間に、標高約430メートルに位置しています。この場所は、江戸時代には農業と炭焼きが盛んであり、明治時代には養蚕業で栄えました。しかし、1967年に古峠の下を抜けるトンネルが開通すると、集落は急速に過疎化が進行しました。特に、当時の主要な集落であった板井原は1975年には廃村となり、そのため現在「板井原集落」と言う場合は上板井原地区を指しています。最近では、江戸時代の地割を保存した集落として文化遺産として注目されるようになり、「日本の山村集落の原風景」と称賛されています。

建築と文化

集落内には110棟以上の建物があり、そのほとんどが1965年以前に建設されたものです。特に、23棟は江戸時代から昭和初期にかけて建てられています。建物の正面には、地元産の杉材を使用した縁桁が見られ、智頭地域の特徴が良く表れています。明治時代以前の建物は茅葺屋根が一般的でしたが、養蚕が盛んになった大正以降は杉皮葺のものが多く見られるようになりました。昭和の時代になると、トタン屋根に変更された建物も増えており、日本の昭和30年代の風情を今に伝える集落となっています。

2004年には、全国で初めて伝統的建造物群保存地区に選定され、文化財としての重要性が再認識されています。また、現在まで自動車の進入が禁止されており、静かな環境が保たれています。

名所・旧跡

板井原集落には多くの重要な名所や文化財があります。

• - 板井原公民館: 国登録有形文化財で、昭和前期に建設された木造2階建ての校舎を利用しています。
• - 藤原家住宅: 1899年に再建された入母屋造りの茅葺き屋根の住宅で、養蚕場と3つの蔵を有し、智頭町指定文化財に指定されています。
• - 六尺道: 集落のメインストリートで、川沿いに位置し、道幅はわずか1.8メートルです。
• - 大日堂: 江戸時代に建てられたお堂で、弘法大師像が安置されています。
• - 向山神社: 地元の神社であり、地域の信仰の中心です。
• - 古民家の喫茶店ギャラリー「和佳」: 1階は喫茶店で2階はギャラリーとして利用されています。
• - 火間土: 古民家を改装したレストランで、伝統的な日本の農村料理を楽しむことができます。

このように、板井原集落は歴史的な価値があり、さまざまな文化遺産に触れることができる貴重な場所です。最近では、古民家の保存や再生作業が進められており、地域の文化を次の世代に引き継ぐ取り組みも進んでいます。

交通アクセス

この集落へは、智頭急行や西日本旅客鉄道（JR）因美線の智頭駅から車で約10分ほどでアクセスできます。徒歩での訪問の場合は、約60分を要します。周辺には智頭宿や芦津渓谷などの観光名所もあり、訪れる価値のある地域です。

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