板取村

板取村について

板取村（いたどりむら）は、かつて岐阜県武儀郡に存在した村です。2005年2月7日に、武儀郡内の他の5町村と共に、関市に編入合併されました。

概要

板取村は、岐阜県の北西部に位置し、福井県と接していました。標高1,000メートル級の山々に囲まれた山村で、村の面積の99%を山林が占めていました。

特筆すべきは、村民の多くが長屋姓であったことです。村議会議員選挙では、立候補者全員が長屋姓であったこともあり、最後の村議会議員選挙では、定数12に対し、立候補した14人中13人が長屋姓でした。

1960年代には板取川ダムの開発計画が持ち上がりましたが、村民の反対運動により撤回されました。その後、1990年代には中部電力による揚水式ダム・奥美濃水力発電所計画が進められ、上ダムが完成しましたが、電力需要の後退により下ダムの計画は凍結されました。

1970年代後半からは、主要産業であった縫製業や林業が衰退したため、「光と水と緑の大地 板取スイス村」をキャッチフレーズに、観光業の振興に力を注ぎました。キャンプ場開発やイベント開催を積極的に行い、村のPRのためにラッピングバスを運行するなど、様々な取り組みが行われました。

地理

板取村は、村の北部に広がる両白山地を水源とする川浦谷や滝波谷などの清流を集めた板取川が、村の中央部をV字谷を形成しながら南に流れていました。村内の全域が板取川の流域であり、集落は川沿いの狭い平坦地に点在していました。

村内には大字はなく、通称として南から板取川沿いに、白谷、老洞、加部、生老、松谷、門出北、門出南、上ケ瀬、岩本、九蔵、松場、中切、野口、田口、保木口、杉原、杉島、島口、門原、三洞という地区が存在しました。

主な山は蕪山、高賀山、滝波山、笹畑山、平家岳などです。また、板取川、川浦谷川、門原川、西ヶ洞谷川などの河川や、川浦ダムなどのダムがありました。

歴史

1889年（明治22年）7月1日に町村制が施行され、板取村が誕生しました。その後、2005年（平成17年）2月7日に、上之保村、洞戸村、武儀町、武芸川町と共に、関市に編入合併されました。

行政

板取村の最後の村長は長屋勝司氏で、1993年10月22日から2005年2月7日まで務めました。

また、姉妹都市として国内では岐阜県の朝日村、海外ではアメリカ合衆国アラスカ州のノースポールがありました。

教育

村内には、板取中学校（現・関市立板取川中学校）と板取小学校がありました。板取小学校はへき地2級に指定されていました。

また、過去には、板取中学校の白谷分校、島口分校、門出分校や、白谷小学校、岩本小学校、中切小学校、島口小学校、保木口小学校、板取第一小学校、板取北小学校といった学校がありましたが、統合や廃校により現在は存在していません。

交通

板取村への主なアクセス手段は、JR岐阜駅や名鉄岐阜駅からの岐阜バス板取線、美濃市からの岐阜バス牧谷線（洞戸キウイプラザで乗り換え）、関市役所からの関市内巡回バス（コミュニティバス）などがありました。

村内には鉄道路線はありませんでした。かつて長良川鉄道越美南線の湯の洞温泉口駅は板取口駅と呼ばれていましたが、村の中心部からは車で30分以上かかりました。

主要道路としては、岐阜市からの国道256号線、美濃市からの県道81号線がありました。また、奥美濃水力発電所開発計画に伴いタラガトンネルが開通したことで、国道256号線が通年通行可能となり、郡上市八幡町方面へのアクセスが向上しました。福井県とは隣接していましたが、連絡道路はありませんでした。

村内には高速道路はありませんでした。

名所・旧跡・観光スポット

板取村では、1970年代後半から観光業振興のため「光と水と緑の大地 板取スイス村」をキャッチフレーズに、スイス風の建築様式を取り入れた建造物が多く建てられました。アジサイの植栽を推進する「アジサイ運動」も展開し、10万本のアジサイが植えられました。板取街道は「アジサイロード」とも呼ばれ、「日本の道100選」にも選ばれています。

主な観光スポットとして、川浦渓谷、株杉、根道神社の池（通称：モネの池）、板取街道、21世紀の森公園、板取スイス村、板取川温泉、神明温泉などがあります。

まとめ

板取村は、豊かな自然と独自の文化を持つ魅力的な村でした。合併によりその名は消えましたが、今もなお、美しい景観や歴史を伝え続けています。

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