林あさ美

日本の演歌歌手として知られる林あさ美は、1977年9月1日に青森県上北郡六ヶ所村で生まれた。幼い頃から祖母の影響を受けて民謡や演歌に親しみ、近所の雑木林で歌唱練習に励んだという。演歌歌手を志し、1993年に故郷を離れ上京した。

1996年、『つんつん津軽』で歌手デビューを飾った彼女は、従来の演歌歌手とは異なる斬新なルックスで注目を集めた。特にヘソ出しスタイルといった大胆なファッションが特徴で、「演歌界のアムラー」という異名で称され、その登場は当時の歌謡界に新鮮な驚きを与えた。同年にはTBSの日本有線大賞とよみうりテレビの全日本有線放送大賞で新人賞を受賞するなど、歌手としての実力も高く評価された。また、権威あるNHK新人歌謡コンテストには1996年、1997年と2年連続で挑み、1997年には準優勝の成績を収めている。

デビュー当初の個性的なスタイルから「演ドル（エンドル）」とも称された彼女は、歌手活動の枠を超えて多岐にわたる分野で活躍した。1997年以降は、中部日本放送の『ミックスパイください』やTBSラジオの『大槻ケンヂとタマゴのキミっ』といった番組でレギュラーを務めるほか、朝日放送テレビ・テレビ朝日系の『熱闘甲子園』ではキャスターを担当するなど、テレビやラジオへの出演が増加。マクドナルドのテレビCMにも登場するなど、その活動は多岐にわたった。さらに、『ヤングマガジン』をはじめとする若者向け雑誌で水着姿を披露するなど、演歌歌手という従来のカテゴリーに収まらない個性的な存在感を放った。

音楽性においては、アイドル的な要素を含む楽曲は『ジパング』以降は見られなくなり、一時は本格的な演歌歌手として活動を展開していた時期もある。しかし、2005年には「韓国の演ドル」と呼ばれるチャン・ユンジョンのヒット曲『オモナ』を日本語でカバーした『恋してオモナ』をリリースし、再びポップな要素を取り入れた。ソウルで開催されたゴールデンディスク大賞授賞式では、チャン本人との共演も果たしている。

キャリアの中で、所属事務所や芸名の変更も経験している。2006年11月にはサンオフィスからエスプロへ移籍。翌2007年1月1日には水牧あさ実（みずまき あさみ）へと芸名を変更したが、2008年5月21日に新曲『男花吹雪』の発売に合わせて、再び林あさ美へと芸名を戻している。その後、2009年初めにはマネジメント業務がエスプロから当時所属していたレコード会社のビクターエンタテインメントに移管され、さらに2010年7月1日にはビクターミュージックアーツへ所属事務所を移している。

歌手以外の側面としては、熱心なラーメン愛好家としても知られている。テレビ番組や雑誌のラーメン特集に登場することも多く、かつて運営されていた公式サイトやブログにも、ラーメンに関する写真が多く掲載されていたという。また、2012年には熱海五郎一座の公演『落語日本花吹雪〜出囃子は殺しのブルース〜』（三宅裕司氏の舞台復活記念公演）にゲストとして招かれ、主題歌を歌唱するなど、舞台活動にも参加した。

多方面で活動を展開した林あさ美だが、2013年以降は、表立った活動を停止している状況である。その個性的なキャラクターと従来の演歌歌手の枠にとらわれない活動は、多くの人々に記憶されている。

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