林洋子

林洋子氏は、1965年11月14日生まれの日本の美術史学者です。現在は兵庫県立美術館の館長を務めています。これまでに文化庁芸術文化調査官や京都造形芸術大学准教授といった要職を歴任しており、その専門は近現代美術史と美術評論にあります。

彼女は京都府で生まれ、1989年に東京大学文学部美術史学科を卒業。その後、1991年に同大学院修士課程を修了しました。学業を終えた後、東京都現代美術館の学芸員としてキャリアをスタートさせます。さらに研究を深めるため、パリ第1大学博士課程に進み、博士号を取得しています。

2001年には京都造形芸術大学の助教授に就任し、2007年には准教授へと昇進しました。2015年には国際日本文化研究センターの客員准教授も務めています。

研究者としての活動は高く評価されており、2008年には著書『藤田嗣治―作品をひらく』でサントリー学芸賞を受賞。2009年には渋沢クローデル賞ルイ・ヴィトンジャパン特別賞、日本比較文学会賞も受賞しています。

林氏の研究の中心は、画家・藤田嗣治に関するものです。彼女は藤田の作品だけでなく、その生涯や制作背景にも深く迫り、新たな視点を提供しています。彼女の研究は、藤田嗣治の芸術をより深く理解するための重要な手がかりとなっています。

2023年4月1日からは、兵庫県立美術館の館長として、美術館の運営や展覧会の企画に携わっています。彼女の豊富な知識と経験は、美術館のさらなる発展に貢献すると期待されています。

林洋子氏の主な著書としては、以下のものが挙げられます。

『藤田嗣治 作品をひらく 旅・手仕事・日本』（名古屋大学出版会、2008年）
『藤田嗣治 手しごとの家』（集英社新書ヴィジュアル版、2009年）
『藤田嗣治 本のしごと』（集英社新書ヴィジュアル版、2011年）
『藤田嗣治 手紙の森へ』（集英社新書ヴィジュアル版、2018年）

共著や編著、監修としては、以下のようなものがあります。

『藤田嗣治の絵画技法に迫る：修復現場からの報告』（木島隆康共編） 東京藝術大学出版会、2010年
『ライブラリー・日本人のフランス体験 第12巻 美術家のフランス体験Ⅱ－黄金の1920年代』柏書房、2010年
『もっと知りたい藤田嗣治　生涯と作品』（内呂博之共著） 東京美術「アート・ビギナーズ・コレクション」、2013年
『藤田嗣治画集』（全3巻、監修） 小学館、2014年。タイトルは「巴里」、「異郷」、「追憶」
『テキストとイメージを編む 出版文化の日仏交流』（クリストフ・マルケ共編）勉誠出版、2015年
『藤田嗣治 妻とみへの手紙 1913-1916』（全2巻、監修） 加藤時男校訂、人文書院、2016年
『藤田嗣治 戦時下に書く　新聞・雑誌寄稿集　1935～1956年』ミネルヴァ書房、2018年
『旅する画家　藤田嗣治』 新潮社「とんぼの本」、2018年。監修

これらの著書や論文を通じて、林洋子氏は藤田嗣治の芸術に対する深い理解と、美術史研究における独自の視点を示しています。また、美術館の館長としても、美術の普及と発展に貢献していくことが期待されます。

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