枝川 (江東区)

枝川：埋立地から発展する江東区の街

東京都江東区南部に位置する枝川は、深川地域に属する地名です。汐見運河、東雲北運河、豊洲運河という3つの運河に囲まれた、埋立地が起源の地域となっています。現在では枝川一丁目から三丁目までが、住居表示実施済区域として存在しています。

歴史：運河と人々の移り変わり

枝川の地は、1910年から1923年にかけて行われた枝川改修工事によって造成されました。複数の埋立地が順次造成され、そのうち4号地と5号地が現在の枝川二丁目と一丁目となり、1928年に深川区に編入されました。運河が枝分かれした様子から「枝川」という地名は付けられました。

特筆すべきは、朝鮮部落の歴史です。1910年の朝鮮併合後、多くの朝鮮人が日本に移住し、各地に集住地域を形成しました。枝川も、当初は不衛生なごみの埋立地でしたが、東京オリンピック開催（後に戦争で中止）に伴い、朝鮮人居住地区が集中整備され、ここに移住が促進されました。戦後には、東京朝鮮第二初級学校やキリスト教会も建てられ、独自の文化が育まれてきました。

戦後の枝川は、海運業の倉庫が立ち並ぶ工業地域としての側面が強まりました。しかし、周辺地域への道路整備が遅れたため、一部地域は閑散とした状態が続きました。一方、周辺では東京都による公営住宅建設が進み、人口増加に繋がって行きました。1970年には大規模な火災が発生するなど、発展の過程で様々な出来事を経験しました。

1980年代以降は、首都高速9号深川線の開通や有楽町線の延伸など、交通網の整備が急速に進みました。これにより、周辺地域へのアクセスが向上し、人口が急増しました。その一方で、かつての枝川コリアンタウンは、その多くが縮小しました。

現在：変化を続ける街

現在、枝川は高層住宅が中心の住宅地となっていますが、歴史的な倉庫や工場も残っており、多様な風景が広がっています。三ツ目通りが南北に貫き、首都高速9号深川線がその上を通過するため、交通の要衝としての役割も担っています。

最寄り駅は東京メトロ有楽町線とゆりかもめの豊洲駅、京葉線の潮見駅です。さらに、2030年代半ばには有楽町線の延伸が予定されており、枝川駅の新設も計画されています。この計画が実現すれば、さらに利便性が高まり、街のさらなる発展が期待されます。

バス路線も充実しており、都営バスが越中島通り方面や三ツ目通り方面へ運行されています。また、コミュニティバス「しおかぜ」も運行され、地域住民の生活を支えています。

地域には、イオン銀行本社、東京朝鮮第二初級学校、江東区立枝川小学校などの施設があります。これらは、枝川の多様な歴史と文化を象徴する存在といえるでしょう。

今後の展望

有楽町線の延伸計画や、周辺地域の開発、更なる再開発など、今後の発展に期待が集まります。歴史と現代が共存する枝川の未来がどう変化していくのか、注目されます。

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