枝折峠

枝折峠（しおりとうげ）は、新潟県魚沼市に位置する標高1,065メートルの峠です。国道352号がこの峠を越えています。

歴史的背景と道の変遷

古くは現在の国道よりも南を通っていたこの峠道は、近世には大福銀山の採掘に伴い、起点となった坂本が宿場町として栄え、活気がありました。しかし、銀山閉山とともに道は衰退します。

近代に入り、銀山平の森林資源開発が進み、林道整備の必要性が高まりました。明治末期から県道として整備され、昭和初期には軍需用林道も完成しました。1950年代中期に奥只見ダム建設用道路（現在の奥只見シルバーライン）が開通するまで、狭隘な難路ながらダム建設資材の輸送に重要な役割を果たしました。かつては未舗装でしたが、現在は全線舗装されています。銀山平から鷹巣方面への県道認定を経て、1975年（昭和50年）に国道に昇格しました。

現在の通行状況

国道となった現在も、峠の前後区間は道幅が狭く急カーブが続くため、路線バスおよびマイクロバスを除く大型車両は通行できません。また、例年12月から5月にかけては積雪のため全面通行止めとなります。かつてあった二輪車の終日通行禁止や普通車の一方通行規制は、2006年に解除されています。

大湯方面から銀山平への主要ルートは、並行する奥只見シルバーラインです。こちらはトンネルが多くカーブが少ない快適な道で、全線対面通行・終日通行（観光シーズン）が可能ですが、二輪車、軽車両、歩行者は通行できません。越後駒ヶ岳などへの登山口がある枝折峠は、登山者などを中心に利用する車両やバイクも多くいます。

歴史ある旧枝折峠の道「銀の道」は、2003年に魚沼市の文化財に指定され、現在はハイキングコースとして整備されています。

滝雲とイベント

枝折峠は、夏の終わりから10月頃にかけて見られる「滝雲」現象で全国的に知られます。山あいの雲海が日の出とともに滝のように流れ落ちる光景は壮観で、駐車場周辺にビューポイントが設けられています。この時期には滝雲観賞のためのバスツアーも催されます。

毎年夏には、麓の大湯温泉をスタート地点とし枝折峠をゴールとするヒルクライムレースが開催され、多くの参加者で賑わいます。

交通アクセス

公共交通としては、夏季観光シーズンに南越後観光バスが小出駅・枝折峠・銀山平を結ぶ路線バスを1日1往復運行しています。また、滝雲観測シーズンには早朝のアクセスに対応した「うおぬま滝雲シャトルバス」が運行されていましたが、2024年度は運行終了しています。

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