銀山平

銀山平（ぎんざんだいら）

銀山平は、新潟県魚沼市の深奥部に位置する、豊かな自然に恵まれた景勝地であり、夏季にはアウトドアレジャーの中心となる地域です。阿賀野川水系に属する只見川と北ノ又川の上流に広がり、荒沢岳、越後駒ヶ岳、平ヶ岳といった標高2000m級の山々に囲まれた盆地にあります。銀山平自体の標高も750mから800m近くあり、高地に位置しています。春の芽吹きや秋の鮮やかな紅葉は特に有名で、多くの観光客を魅了しますが、冬期は5〜6メートルもの雪に覆われる日本でも有数の豪雪地帯です。また、尾瀬国立公園への新潟県側からの主要な入口としての役割も担っています。

歴史

この地には古くからの伝説が残されています。平安時代末期、平清盛との争いに敗れたとされる藤原頼国、通称「尾瀬三郎」が、枝折峠を越えてこの地に隠れ住み、さらに只見川を遡って尾瀬ヶ原を開拓したという伝承があります。江戸時代に入ると、只見川の上流部で銀鉱が発見され、上田銀山や白峰銀山が開山されました。これに伴い、全国から代官、採掘技術者、商人、さらには遊女までが集まり、鉱山の町として大いに栄えました。しかし、二度にわたる大規模な出水と坑道の崩落事故が発生し、多数の死傷者を出した結果、江戸時代末期には全ての鉱山が閉鎖されました。

明治から昭和初期にかけては、主に小出や湯之谷地区の住民、一部は福島県檜枝岐からの移住者が中心となり、この地の開墾が進められました。川での鱒漁やゼンマイなどの山菜採りなども生活の一部として行われていました。戦後、1953年（昭和28年）からは電源開発株式会社によって奥只見ダムの大規模な建設事業が始まりました。総工費360億円を投じて建設されたダムは1962年（昭和37年）に完成しました。このダムによって形成された奥只見湖の湖底には、かつて栄えた上田銀山や白峰銀山の坑道跡、そして当時の集落跡が水没しています。現在、銀山平へアクセスするために使われている奥只見シルバーラインは、このダム建設のために造られた工事用道路を改良し、一般車両向けに供用されたものです。

施設・見所

銀山平にはいくつかの魅力的な施設や自然景観があります。荒沢岳を源流とする中荒沢沿いには、夏季限定（主に7月1日から9月下旬）で利用できる銀山平キャンプ場があります。第1と第2サイトがあり、炊事場や散策路などが整備されています。

キャンプ場奥の中荒沢では、夏でも雪渓が残る珍しい光景が見られます。この雪渓は9月頃まで融けずに残り、雪が消えるにつれて春、夏、秋の様々な花々が一斉に咲き始める、非常に不思議で美しい現象を観察できます。また、雪解けが進んだ夏の間だけ姿を現す「本城の滝」という三段の滝も隠れた名所です。

国道352号をさらに奥へと進むと、尾瀬口に近い鷹ノ巣地区や下折立地区があり、鷹ノ巣高原キャンプ場や奥銀山キャンプ場などが点在しています。この最奥部にはロッジやペンションなどの宿泊施設もあり、尾瀬へのアクセス拠点となっています。冬期間は深い雪のため、多くの住民が小出や湯之谷など下界へと移住します。

奥只見ダムによって誕生した広大なダム湖は「奥只見湖」または「銀山湖」と呼ばれ、サクラマス、ヤマメ、イワナといった大型の魚が釣れる場所として、釣り愛好家の間では特に知られています。残雪と新緑が美しい春や、湖面に映る紅葉が息をのむほど美しい秋は、遊覧船に乗ってその景観を堪能するのもおすすめです。作家の開高健もこの地を深く愛し、度々訪れたことで知られています。銀山平石抱には、彼の言葉「河は眠らない」が刻まれた記念碑が建立されています。

銀山平キャンプ場から枝折峠方面へ向かう途中には、銀山平森林公園があります。ここにはログハウスの宿泊施設や、日帰り利用が可能な温泉施設があり、散策の疲れを癒すことができます。

また、かつて上田銀山から採掘された銀を運び出したとされる道を辿る「銀の道」は、現在ハイキングコースとして整備され、人気を集めています。銀山平石抱と駒ノ湯温泉を結ぶ全長12km、標高差460mの道のりは、約4時間10分で踏破できます。

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